「柳田明」タグアーカイブ

詰将棋雑談(36) 19から49まで香を並べる

詰将棋入門(95)で図巧#90を取り上げた。
17香、39香、59香と遠打する作品だ。

あの作品を鑑賞して、「17香も19香としたいなぁ」と考えた人が数多くいたに違いない。
「飛車を捌かなくても手順の統一性を優先したい」というのもよくわかる考え方だ。

さらに「どうせなら香3枚でなく4枚とも打ちたい」と考えるのが人情というものだろう。
それなら図巧#91のように飛び飛びに打つのではなく、19香~49香と並べてみたいと考えるに違いない。
人間の欲望はキリがないのだ。
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「実戦1手詰」柳田明

柳田さんの新著を入手しました。
発行は日本将棋連盟で販売はマイナビ出版といろいろ複雑ですねぇ。

さて,表紙は当然ながら(?)柳田さんの写真ではなく藤井聡太先生の写真。
奥付もこのようになっています。

注目してほしいのは,推薦者プロフィールの所。
藤井聡太四段なんですね。

なんでも,2刷では五段になり,3刷では六段と詰将棋解答選手権4連覇になったらしい。
この調子では,4刷では七段!?
可能性はどちらも0ではない。
すごいですねぇ。(4刷どころか,柳田さんは10Kはいくと自信を持っていました)

とすると,この初刷は将来,数少ない「四段」プロフィールとして,昭和64年発行の硬貨みたいに希少価値がでてくるに違いない。
…そう思ってほくそ笑んだのでありました。

完全版 看寿賞作品集

ついに出た。
最新の27年度受賞作まで網羅した看寿賞作品集!

人様の作品を解説するというのは、エネルギーをけっこう使うものだ。
ましてや、受賞作品は重量級の作品が多いし、本になるとなると責任も重い。
自分で作ったか、解いたか、解説したか、選考したかでないとなかなか作品のすみずみまで理解することは困難だ。

本当に膨大な仕事をやり遂げた柳田大兄に敬意を表したいと思う。

まだ、ぱらぱらとめくった程度だが、旧版の解説も手を入れてあったりするようだし、短評が変わっていたりする。
丁寧な仕事だ。

さて、旧「看寿賞作品集」と比べてみる。
最初に嬉しかったのは紙がよくなったこと。
300ページから600ページと倍近くなったのに、大差ない厚さ。きっと経年劣化もしにくい紙なのだろう。

装丁は旧版の方が気合が入っている。
これは新版は書店売りをしない方針だからかなぁ。

旧版にはスピン(しおりに使うひも)があったのに、新版にはついていない。
これはつけてほしかった。
コストを抑えるためだろうなぁ。

旧版は「杏・圭・全」だったのが「成香・成桂・成銀」になっている。
「宇宙」がなんだか違う作品のように見えた。
星はやはりなし。

昔と違って、今は盤面に星を入れるのは簡単なのに、なかなか実現しない。
フジタマさんらと作った「日めくり詰め将棋カレンダー」がもしかしたら唯一か。
あれをきっかけに星が標準になってくれることを期待したんだけどな。

編集を角さんがやったら、もっと素晴らしかったんだろうけど、それは望蜀。
ちょっと高いけど、価値を考えると実に安い。
若い人はアルバイトしてでも入手しておくべき。


追記:そういえばひとつだけ気になる点が。
それは「完全版」というタイトル。
まだまだ看寿賞作品は増える見込みなのだから、次回につけるタイトルに困るのでは?
そして「完全版」をつけてよいのは「塚田賞作品集」。
これも書くとしたら柳田さんしかいないのでは?