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詰棋書紹介(18) 詰将棋半世紀


詰将棋半世紀 柏川悦夫(香悦) 詰将棋研究会 1994.11.1

ここに収録した詰将棋は自伝です  柏川香悦

詰将棋作品集を作ろうという人なら、誰だってそう思う。
ひとつひとつの作品に思い出が詰まっている。
でも、この文章を書いていいのは柏川悦夫だけじゃないだろうか。
同じことを語っても、圧倒的に重みが違うのだ。

柏川氏の作品集は5冊目になる。

    「詰将棋鞠藻集」 1951.11 将棋評論付録
    「駒と人生」 1963.12 全詰連
    「新まりも集」 1964.9 近代将棋付録
    「詰」 1975.6 野口文庫

「詰将棋半世紀」は第1部「駒と人生」100局、第2部「盤上流転」150局という構成で、柏川詰将棋の集大成になっている。西東書房から出版する予定だったのだが、七条社長が1989年に逝去されたので、森田さんが自費出版で作った。所持していない方は古本屋やヤフオクで見つけたら買う一手だ。特に、短篇・中篇を志すなら柏川悦夫を知らないでは話にならない。

作品紹介に進もう。

柏川悦夫 駒と人生 第35番 将棋評論 1952.8

以前もこの作品選んだような予感がする。(調べないが)

この詰棋書紹介シリーズ、書影用意して作品選んでki2ファイルつくって、ちょこちょこっと紹介文書いて……だけなので簡単かと思いきや、実は一番時間がかかる。
なぜかというとその本を手に取るのは大抵久しぶりなので、読みふけってしまって、新たな発見したり、また関連することを調べ出したりしてしまうから。

紹介文もたいてい最後にごっそり削る。
自分が感動したことを書き連ねてしまうのだが、そんなことは実際に本を読んでもらって、自分で感じて貰えばいいからだ。

もっと冷静に、淡々と書きたい。

第3部は諸氏による柏川作品の紹介。
もちろん、こんな処で作品をけなすなんてあり得ないし、普通は誉めるに決まっている。
だから似たような企画が別の本にもたまにあるが、あまり読まない。面白くないから。

だが、本書の第3部はいつもとは違う。これは必読だ。
うまく表現できないが、漂う雰囲気からして違う。
漂っているのは諸氏の柏川悦夫への尊敬の念だろうか。