上田吉一『極光21』第80番 詰パラ1974.7
持駒は多いが3種。形もシンプルだ。
初手21銀成は同玉なら詰みそうだが、12玉、22成銀、同馬…。
これは桂馬が使えない形だ。
そもそも初手から駒取りなんてダサイ導入はあり得ない。
12香から入ってみたい。
23龍が質駒の形になっているので、12香と打てば、同馬と取るしかない。
そこで21銀成と桂馬を取れば、同馬は13香で簡単なので、同玉と取るしかない。
12香、同馬、21銀成、同玉、
さらに素直に攻めると…
32銀、11玉、23桂、同馬、13香、
【失敗図】
好調に見える。
実際、作意も殆ど同手順なのだが、これは失敗に陥る。
最後に駒が足りなくなるのだ。
正解に入ろう。
作意は初手14香。
14香、
変化はあるが、これには13桂打と応じるのが正解。
13桂打、
この2手を決めておいて、あとは先程踏み込んだ順で正解だ。
12香、同馬、21銀成、同玉、
32銀、11玉、23桂、同馬、13香不成、
この局面で【失敗図】と比べてみればわかるように、冒頭の2手を追加した成果で持駒が桂馬1枚違う。
12銀、
さて、この間駒。
12香ぐらいで済まそうとすると、21銀成、同玉、23龍がある。
以下22に横に利かない駒だったら43角。
22に飛金合だったら12香成から間駒を取ってしまう。
単に31玉と躱す変化もありなかなか読みが必要だ。
次のサイクルからは持駒に銀が入ってくるので最初が一番苦労するかもしれない。
これは読者の研究に委ねることにする。
調べてみると収束にも関わる61金1枚で解決している凄さがじわりと味わえることだろう。
同香成、同馬、
これで不規則な1サイクル目が終了。
ここからは規則的なミニ趣向が始まる。
23桂、同馬、13香、12銀、
同香成、同馬、
持駒の「桂香」が「銀」に変わった。
23桂、同馬、13香、12銀、
同香成、同馬、
持駒の「桂香」が「銀」に変わった。
ここからは収束。
22銀、同馬、同龍、
まずは龍を清算。
同玉、23銀打、33玉、51角、
龍と交換した角を捨駒にする。
同金、34銀打、42玉、43銀上成まで37手詰
誰もが大好物のミニ趣向。
上田吉一はこう書いている。
Tweetミニ趣向は簡単なように見えるが、実は意外と創作が難しいものなのである。
「詰将棋入門(155) 狭い所で持駒変換」への1件のフィードバック