詰将棋つくってみた(50) 課題10:限定間駒 選評

Judge:角 建逸

 作家の端くれとして正直な感想を述べました。いいものはいい、悪いものはどこが悪いかをはっきり書きましたので、厳しい文章になってしまったところもあります。そこのところお許しいただきたいと思います。
 なお私案を示した作もありますが、作意はなるべくそのままにしています。それ以上踏み込むのは作者の領分だからです。

優秀作

【第8問】芹田修

正解 53飛成、43角、24銀打、22玉、42龍、32桂、23歩、同桂、33銀不成、13玉、25桂、同角、14歩、同角、24銀上、同桂、22龍まで17手詰

 合駒させた角桂を両方とも動かしての詰上り。作者らしい感じの手順でとてもいいですね。ダントツで優秀作だと思います。

<独り言>
 うーん、なんてもったいない。将棋世界なら月間優秀作、高校なら首位くらいあったでしょうに。ケチをつけるとしたら最終手22銀生でも詰むことくらい(笑)。さすがにそれを消すのは至難の業のよう。

佳作

【第4問】keima82(2)

正解 28香、27飛、26香、同玉、27馬、25玉、45馬、27金、35馬、16玉、17飛、同金、26馬まで13手詰

 飛中合~金中合は楽しい。前例の指摘がなければ佳作に推します。

<独り言>
 32歩は9手目35飛、14玉、13と、同玉、33飛成以下の余詰消し。四段目の玉方飛車も重要でそう簡単に変えられず、駒は減らないという結論。うまくできていると思います。

【第7問】武田裕貴

正解 22歩成、同飛、44桂、41玉、61飛、51香、同飛成、同玉、52香、41玉、33桂、同桂、23角成、同飛、51香成、同玉、52桂成まで17手詰

44桂、41玉、61飛、51香合はすぐに読めますが、初手22歩成がシャレた手で、同飛と取らせておくとうまく行く。大人な感じの完成品。

<独り言>
今回唯一の双玉物。合駒のひねりはないけど佳作です。将棋世界でも入選したと思います。

【第15問】松θ拓矢(2)

正解 55角、34玉、24飛、同玉、42馬、33香、同馬、25玉、15馬、36玉、37馬、45玉、46馬、34玉、26桂、25玉、15金、26玉、37馬、17玉、18香、同玉、28馬まで23手詰

 眼目の33香合は「大駒は近づけて受けよ」ですが、17桂からの変化と相まってものすごく感触がいい合駒です。佳作。

<独り言> 
佳作に選んでおいて何ですが、配置面で62とが気になりました(初手の紛れのため)。働きの悪い59飛も収束を限定するためだけのよう。そこで私案を考えてみました。

序盤をカットし、一段ずらして先の二枚をなくしたものです。26桂打から入ることで合駒制限のための玉方の桂も不要に。54角は21馬や65馬にすることは可能で、ここから逆算するのはいかがでしょうか?

講評

【第1問】松θ拓矢

正解 38銀、26桂、29銀右、17玉、18香、同桂成、27飛まで7手詰

 26中合はいい感じ。

<独り言>
 すぐに桂合しかないと分かりますが、トップバッターとしてはこの明快さも重要です。

【第2問】keima82

正解 23龍、24歩、同飛、35玉、36歩、同銀、34龍まで7手詰

 飛龍の焦点への24歩合。

<独り言>
 24香合なら同龍、17玉、18香までですが、そのための19歩が残念。21歩を置いて香合を作意にする手もありますが、13龍と収束の33龍防止のため結局駒は減りません。うーむ。ただ44飛は54の方がいいように思います。

【第3問】松田圭市

正解 34角、23桂、同角成、同玉、15桂、12玉、11銀成、同玉、23桂不成まで9手詰

 桂合自体は普通ですが、入手した桂を打つ15桂が味の良い手。最後その桂が跳ねて終わるのもいい。

<独り言>
 24・25の二枚の配置に目が行きます。いずれも桂香の二択ですので、桂桂は作者の好みということでしょうね。

【第5問】negitarou

正解 51龍、52歩、同龍、同銀、55歩、45玉、57銀、47桂、同香、同角不成、37桂、同歩成、46歩、36玉、26金まで15手詰

 12歩は不要。全体的に駒のダブリ感があり、スッキリしません。

<独り言>  
 詰上りに取り残された19角がかわいそう。角でないと詰まない変化があるためこうなっているのですが、まずそこから見直しをしては?

【第6問】negitarou(2)

正解 43桂成、36角打、同香、同角、53角、42桂、同角成、同歩、23桂、41玉、51歩成、同飛、31桂成、同玉、33香、41玉、32香成まで17手詰

 手順自体は水準(大甘ですが)。ただし形がこれでは評価はがた落ちです。

<独り言> 
 2手目歩合を避けるために38歩を置き、6手目角合をなくすために72角を置く。合駒物にはありがちな話です。そこで参考図を考えました。

2手目歩合は21馬~25飛以下。これで馬の顔も立ちます。62香にしたのは詰上りの攻め駒を減らす意味ですが、これは原図の74桂とどちらがいいか微妙なところ。

【第9問】はせがわ ゆ

正解 57角、66歩、同角、64玉、33角成、75玉、42馬、64歩、同馬、84玉、75馬、同玉、76歩、84玉、85歩、74玉、63角成まで17手詰

 二枚角を生かした面白い図でしたが、7手目より66馬、64玉、44馬、75玉、53馬、64歩合以下作意に戻る迂回余詰のキズあり(作者自認)。しかし盤面をよく見るとおあつらえ向きに49龍がいるので、45角→36角とすれば42馬ができず迂回手順が作意に昇格しますね。

<独り言> 
 35角は初手53角成を見せた配置となっていますが、参考図のように79角とする手もありかと。初手97角の紛れが4手目65玉に88角(77角や33角成も詰むが長い)、75玉、97角とする変化と呼応して味がいい気がします。35角のままでも初手53角成と11手目53馬の対比になってはいるのですが。

【第10問】negitarou(3)

正解 74桂、51玉、73馬、42玉、51馬、32玉、36飛、22玉、33馬、13玉、16飛、14銀、同飛、同玉、15銀、13玉、24銀、14玉、23馬まで19手詰

 最後桂合が詰まないので、桂を使い切るため前半を足したわけですが、そこまでするほど銀合が素晴らしいかというと…。お疲れ様です。

<独り言> 
 これだけ駒を置いて何が得られたのか、そこをご再考ください。

【第11問】negitarou(4)

正解 55金、53玉、33龍、43金、44銀、同馬、同龍、52玉、43龍、同玉、33金、53玉、54歩、同と、62角、52玉、42金、61玉、51金まで19手詰

 申し訳ありませんが、これは金合が入った単なる詰め筋であり、詰将棋とはとても認められません。

<独り言> 
 収束がグダグダでは詰将棋としての価値がありません。まずはピタッとした着地手順を見つけることが先決です。

【第12問】negitarou(5)

正解 36龍、35飛、同龍、同玉、45飛、36玉、46飛、35玉、44銀不成、34玉、43銀不成、33玉、42銀不成、22玉、33銀成、同玉、42飛成、34玉、46桂、35玉、45龍まで21手詰

 合駒で入手した飛車を軸にした図。21とが気になります。

<独り言> 
 21とをなくした私案です。32歩は余詰消し。14手目32玉は36飛以下同手数駒余り。原図の37香は35歩合の可能性を残すためでしょうが、本作の場合そこに意味はありません。

【第13問】negitarou(6)

正解 24桂、15歩、同香、同桂、22角成、同玉、33角、13玉、12桂成、同玉、13歩、同玉、24銀、14玉、15銀、13玉、24銀、14玉、23銀直不成、13玉、25桂まで21手詰

 歩合を含め手順に魅力なし。強いて上げれば収束の銀の動きくらい。

<独り言> 
 収束の銀の動きを増幅してみたのが参考図。合駒も入れてみました。これで入選級というわけではありませんが、何か見せ場を考えることはとても重要です。

【第14問】馬屋原剛

正解 45馬、23銀、同馬、同玉、25龍、24銀、34銀、12玉、22龍、同玉、24龍、31玉、33龍、32銀、42銀、21玉、32龍、同玉、33銀上成、21玉、22銀、12玉、24桂まで23手詰

 2手目23歩合は同馬、同玉、24歩、12玉、14龍、同桂、13歩、同玉、33龍以下。銀合で同様に24銀以下攻めると13歩が打歩詰で打てないという仕組み。不利合駒です。そこで5手目25龍と寄るのが継続手。再度銀合は9手目14龍、同桂、13歩の筋を消したもの。24角合には22龍~24龍の力業で早く詰みます。

<独り言>
 盤面7枚は今回最少。最初の不利銀合がスタート地点での正算と見ましたが、さすが「コンテスト荒らし」の異名をとる作者、そこからやや強引にひねり出したのでしょう。収束にしわ寄せがあり佳作は見送りましたが読み応えのある力作です。

「詰将棋つくってみた(50) 課題10:限定間駒 選評」への2件のフィードバック

  1. twitter で指摘のあった、
    第一問の正解の 「2手」 抜けがこちらにもある。

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