詰将棋用語の最前線(8) 姉妹作と兄弟作

「姉妹作」,「兄弟作」という用語には今のところ定着した用法はない。
人それぞれが自分の持つイメージで使っている状況である。

詰パラ1981年10月号に森田正司「兄弟図式のすすめ」という論考がある。
筆者は森田さんを尊敬しているので、それからは森田氏の指示(?)に従って使っている。

その森田さんの提案は次の通り。

  • 似たような配置で全く異なった手順の詰将棋を兄弟図式と呼ぶ。
  • 具体的には「持駒は同じで盤面は配置の差は2枚以下」ないしは「盤面持駒あわせて差は2枚以下」としたい。
  • 作者が異なるものは義兄弟図式と呼ぶ。
  • 対になるような構想(あるいは趣向)の作品を姉妹局と呼ぶ。
  • 盤面が全く同じ配置で持駒が異なる作品は双子図式と呼ぶ。

ただし、最近は初形趣向は「~図式」、終形趣向は「~詰」という用語が定着してきていると思うので(これも森田さんの『古今趣向詰将棋名作選』由来か?)セットで発現する趣向に「兄弟図式」というのは違和感を感じるので兄弟作と呼んでいる。
また、「義兄弟」も対となる「義姉妹」という言葉をあまり聞かないので筆者は使っていない。
使うとすれば……次のような感じ?

異母兄弟作

妻木貴雄 近代将棋 2003.6

二上達也 将棋世界 1987.12

異母姉妹作

花沢正純 近代将棋 1964.12

吉村達也 将棋世界 1996.9

※上から順に『Limit 7』の第58番、59番、20番、21番です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.