ジャッジ:飯尾晃
課題3:複合手を含んだ詰将棋を創ってください。
(捨てる駒は持駒でも置駒でも不問)
優秀作
【第7問】ぬ
32銀~23角~22金と玉を22に呼び11とを消去し11銀を据える。初形と12手経過局面を比較すると11の駒がと金から銀にすり替わってる。そして再び32銀~23角~22金で詰上がる。複合といわれると?だが、三部形式の手順全体を一組と捉えたものか。優秀作。
佳作
【第3問】あとれい
5手一組の打捨てで龍を翻弄し65の地点をふさぐ。いずれの捨駒にも55玉の変化が伴うが44馬の一手詰。香打~桂打は間々ある手順だが加えて歩打となると例はそうそうないかも。曲折的な捨駒は課題にも忠実と思う。佳作。
その他の作品への選評
【第1問】ウマノコ
事前に63銀を54に誘い64に隙を作ってから43飛。わざわざ玉方の利き増やし、そこへ捨駒というのがいかにも複合手っぽい。先に43飛は同銀で詰まない。32銀41香が効率のいい配置に見える。なお、黒坂隆身に同手順の作があった。
黒坂隆身 風ぐるま 1956.1
【第2問】ウマノコ
例題にあった「駒と人生」第26番のウマノコバージョン。こちらも14への利きを増やしてから、そこへ捨駒。そして余計なことはせず龍をきっちりと捨てて収束。切り詰めた構成がいい。
【第4問】不透明人間
3手目の局面は22~11に捨駒をしたいが持駒は金一枚。32金~22金と節約して使うと捨駒2回と同様の効果を得られる。3手一組の手筋だが1枚の駒の運用なので複合という感じはやや薄いか。視覚的には23歩は14桂にしたい気もする。
【第5問】松田圭市
単に34香は33桂合で不詰。そこで43桂打のスペースを作るべく35飛。作意は角合に変わるが9手詰マスターらしく、きっちり9手で終息する。ただ、これは複合というより変化伏線の色合いが濃そうだ。
【第6問】奥鳥羽生
本作はパラ2018.12の簡易版だろう。飛車筋を遮る64角と間接的にその飛車に当てる44飛。課題の複合手とはかけ離れている気もするが、作者が複合限定打と名付けるオリジナルの構想だ。64角は穴ふさぎの意味もあり抵抗感はないが、4手目52玉は43飛成で早いので要注意。