詰将棋入門(192) \(4\times4\)の宝石(その2)

中出慶一 『想春譜』第87番 詰パラ1982.1

\(4\times4\)の小さな世界で繰り広げられる楽しい駒繰り。


中出氏も中段玉が主戦場の作家なので、本作はおそらく\(4\times4\)を意識した創作だろう。

持駒は粘着力のない銀と香。13玉から上部に逃げ道が開けているので初手はこの一手だ。

15香、

間駒選択になる。
13合は21銀、同玉、31角成、同玉、32桂成まで。
13角合でも同じだ。

14に合駒だが、同香、同飛は必然だからこれは揮発性の間駒
飛金は3手詰。
桂だと…

   14桂、同香、同飛、22金、13玉、25桂、

【変化図】

22金に同玉の変化は後述。
13玉に桂馬があれば25桂で追い落とせる。
あとは並べ詰みだ。

では角合は…

  14角、同香、同飛、21銀、13玉、35角、

【変化図】

24からの逃走路が角があれば簡単に塞げる。
仮に24飛と移動合しても23金、同玉、24角成で簡単だ。

そこで正解は香合と決まる。

   14香、同香、同飛、

持駒を温存したまま34飛を14に動かすことができた。
次は角の利きを塞いでいる33金の処分だろう。

22金、

同玉だと…

   同玉、31銀、12玉、21銀、同玉、
22銀打、12玉、21銀打まで

【変化図】

したがって正解は

  13玉、12金、同玉、

33金の原型消去に成功した。
これで24に角の利きが通ったので後は銀を打捨てていくだけだ。

21銀、同玉、32銀、12玉、

13香、同玉、22銀、同玉、

33銀、

角を活用するために24に利かせる駒を33銀にバトンタッチ。
同桂はもちろん31角成、12玉、21銀生まで。

   12玉、21銀生、同玉、31角成、同玉、
32銀成まで23手詰

手数は中篇だが、易しく楽しめる作品だった。

中出慶一作品集『想春譜』はつみき書店で購入できます。

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