詰将棋つくってみた(113) 課題24:結果発表

課題23:罠のある詰将棋を作ってください。

課題24への解答は7名でした。ありがとうございます。
しかし少なすぎます。これではこの企画に作品を提供してくれる作家はいなくなってしまうことが予想されます。そろそろこの企画も終了かな?

まだ解いていない方はこちらからどうぞ。

印刷用pdfつくりました⇒課題24.pdf
a4両面冊子印刷で持ち運びしやすいサイズになります。

第1問 松θ拓矢

正解
75馬、56桂、64馬まで3手詰

占魚亭 2手目59馬が罠?
まつきち 26馬の利きに注意。
negitarou 玉を6五の地点には逃がさない!
松崎一郎 桂の移動合が罠(取ると不詰)。
ぎょうざパン 53の歩にひもをつける桂跳ねが最後の抵抗ですね。
松澤成俊 一番平凡なところ(7五馬)に出ると逃れるのが罠というもの(笑)
keima82 罠は☖59馬☗64馬の変別順でしょうか。しかし、変化の☗53竜が先に見えたため、移動合に気づいてしまいました。

75馬、63玉、53龍まで3手詰という解答は駒余りになるので「正しい応手をしていない」という理由で誤解になります。
同じ理由で75馬、59馬、53龍という解答も誤解になります。
では75馬、59馬、64馬という解答はどうでしょうか。
この手順が変別(変化別詰の略)と呼ばれるもので、この順の解答を正解にするか誤解にするか詰将棋界では長い間論争されてきました。現在は誤解とするというのが結論になっています。
本作の場合、駒余りを避ける「56桂」という作者の狙いが伝わっていないというのが、誤解とする理由といえるでしょうか。
全員正解。

もっとも変別論争はどちらが正しいかを決めるという類の論争ではなく、詰将棋の目的を「玉を詰ますこと」とするか「本詰(規約用語。「正解手順」の一つと考えてください)を見出すこと」とするかという、謂わば詰将棋の公理を選択する論争です。しかし感情的にならずに論争をすることは、論理的な人の多い詰将棋界でも難しいことだと思い知ることになりました。

第2問 青木裕一

正解
44角、46玉、28角まで3手詰

松崎一郎 と穴に入らずんば玉を得ず。
まつきち 33角成には57歩があった!
松澤成俊 罠(5七歩)を逃れる移動場所探し
ぎょうざパン 35のと金を守る手とは全く思いつかなかったです。
占魚亭 46とに紐をつけないのがポイント。68角には歩合。
negitarou 3五の「と金」を支えるのが肝要。3手で詰むのは正直、意外でした(第一感は「3三角成」)。
keima82 ☗33角成~☗15馬が第一感でしたが、☖57歩で逃れ。☗35とに紐をつけるのは、元々紐がついているだけに浮かびにくかったです。

手数を明示しなかったので紛れが山盛り。
生飛車は近付けて受けよの歩の中合の受けがあります。短評を参考に研究してください。
全員正解。

第3問 松田圭市

正解
15銀打、13玉、63龍、53歩、同龍、同馬、
23歩成、同銀、14歩、同銀、24銀まで11手詰

ぎょうざパン 桂合に備えての初手ですね。
まつきち 25銀打では53桂合で詰まない。
松澤成俊 1五に打つと詰まない方が罠らしいと思う。
松崎一郎 初手の銀打ちは25の方が形はよいが罠だったのか。
keima82 初手☗25銀が罠。桂合で詰まない。まんまとハマりました。
占魚亭 打歩詰回避。初手25銀だと4手目53桂合で逃れ(25に打つ人はいないだろうけど)。
negitarou 2五のスペースを開けておく。「5三桂合」を見据えての渋い指し回しですね(何となく「2五銀打」としたくなる)。

作意を見ただけでは「何処に罠が?」と思われると思います。私も15銀打から考えたので、そう思いました。25銀打が渋い罠だったのですね。
全員正解。

第4問 武田裕貴

正解
33銀成、24玉、35銀、25玉、26飛、35玉、
47桂、44玉、22飛成、17香成、42龍まで11手詰

松崎一郎 罠は何処に。
松澤成俊 手の付け方が難しくて罠の影が薄い(笑)
占魚亭 飛の成り場所が大事。9手目23飛成には35馬がある。
ぎょうざパン 3手目の35銀とそれを取らせる26飛が盲点になりますね。
まつきち 初手に紛れが多く、筋が見えませんでした。手数順でなければ諦めていたかも(笑)
keima82 3手目☗36桂から行きたくなりますが、46の地点がケアできず失敗。9手目☗23飛成に☖35馬でしょうか?課題関係なしに良問。

最終3手、23飛成から43成銀を狙うと35馬という非常手段が出現して逃れとなります。
全員正解。

第5問 ミーナ

正解
61飛、51歩、同飛不成、22玉、52飛不成、23玉、
41角、34玉、35歩、33玉、32角成まで11手詰

松澤成俊 典型的な罠
占魚亭 打歩詰に気をつけ、最後に成る。
まつきち 捨合から打歩詰回避の連続不成はお見事。
ぎょうざパン 解いて初めて62歩の意味が分かりました。
keima82 まず、飛車を成った場合に☖42歩合を見逃すのが第一の罠。そして、2手目☖22玉が第二の罠。後者は、中合しない場合と結局同じ形になりますが、中合した方が2手稼げ、無駄合でもない、というからくり。たまに見ますがいつも引っかかってる気がします。(よく見るのは☗24香☖21玉の形で、☖22歩と合駒せず、☖23合☗同香☖12玉☗22香成とする作品)。

keima82さんの短評を読めば追加の解説は不要ですね。
マニアには定番の展開なので「11手でよくぞまとめた」という感想になるでしょう。有名どころでは角版『短編名作選』第80番。高橋恭嗣さんのデビュー作(詰パラ1983.7)があります。
誤解者2名。

第6問 ミーナ

正解
12歩成、同玉、32飛、22銀、同飛成、同玉、
13銀、同玉、25桂、24玉、35銀、同香、
42角成、34玉、33馬、25玉、26金まで17手詰

ぎょうざパン 飛→銀への変換が意外な手段。
松澤成俊 あまり罠という感じはしないが好作
占魚亭 初手の味良し。97角は「ここしかない」という配置なんですね。
まつきち 初手32金や3手目13飛の紛れで一苦労。22銀合を奪って13銀は鮮やか!
keima82 好形、好手順で難解作。7手目がとても気持ちいい。罠は3手目以遠打に☖22飛合?☗97角の配置の意味が分かると面白いですね。

作者の設定は3手目より52飛、22金合、同飛成、同玉、31銀、12玉、24桂以下。
実際は金合でなく22飛合で逃れます。24玉となったとき35金、15玉と躱すともう1枚金が必要なのですね。凄く巧くできていると思いましたが、この筋に入った方はいませんでした。
誤解者1名。

第7問 やよい

正解
87角、65飛打、同角、同飛、44飛、33玉、
32桂成、同と、34飛、同玉、25と、33玉、
24と、43玉、44歩、54玉、63角成、55玉、
56とまで19手詰

松澤成俊 序の3手がポイント
松崎一郎 2手目65飛の移動合は罠だったのか。
占魚亭 見るからに「飛を合駒で出しますよ」という形。
ぎょうざパン 第6番が無ければ15手詰で出していました。飛合はスゴい手でした。
まつきち 2手目の不利合がすべて。この作者だからもう少し何か出てくるのを期待しましたが…。
keima82 2手目は☖65歩か☖54歩のどちらかと思いきや、飛車!不利合ですね。☖54飛合が成立しないのが巧いですね。

36桂・14銀の配置だけでマニアには「飛車合だな」と見破られてしまうようです(^^;。
作者は65飛移動捨合の方を作意にしたかったようです。この変化に間駒非限定がなくて綺麗だったら嵌まる人も出たかもしれません。
全員正解。

第8問 馬方四季 ジャガーノート

正解
18歩、16玉、61角、43歩、17歩、同玉、
71角、62桂、18歩、16玉、43角成、25香、
17歩、同玉、44馬、26金、18歩、16玉、
28桂、27玉、26馬、同玉、17金まで23手詰

占魚亭 移動合を見越した角2枚の最遠打が素晴らしい。
松澤成俊 最長の受け探しだが攻めの妙手は無く面白みには欠ける
keima82 初手☗71角を潰すだけで数十分を要す(☖44歩で不詰?)罠というよりは1手1手がとにかく難解でした。よく合駒の種類と場所を限定できましたね。最優秀作品と予想。

21香が動きそうですから61角・71角と打つのは予想できますが、その順序と玉方の応手はいかにという作品です。正解者3名。
誤解の1名は、初手71角とされた方です。
71角、44歩、18歩、16玉、43角、25香、28桂、26玉、27歩、同玉、54角成、45香で逃れます。

そこで18歩で16玉の形にして61角を先に打ちます。
この応手も難しく25合ですと28桂で角があるので簡単。34に中合するのも17歩、同玉、71角と61角をアンピンして18歩、16玉、35角成と歩以外の駒が入るので詰み。
そこで歩の中合となりますが、52では43角と重ね打ちするのが好手でこの角が54角成とできるので詰み。
残る手段は43歩の中合のみでした。
そこで今度こそ71角と打ちます。中合することになりますが、18歩、16玉、43角成、25香に28桂、27玉、54馬を防がなければなりません。そのためには53歩か62桂です。
53歩は43角成のあとに53馬と取られてしまうので、62桂が正解と決まります。

詳しい解説は単行本化までお待ちください。

因みにタイトルの「ジャガーノート」とは何だろうとググってみたら、ヒンドゥー教のヴィシュヌ神の八番目の化身であるクリシュナの異名だそうです。私もこれからはヒンドゥー教だと思って『バーガヴァタ プラーナ』を読んでいますが、なかなか読み進みません。トラップだらけの爆弾と戦う映画があったので、そちらの方が作意かもしれません。

第9問 negitarou

正解
25銀、同玉、36馬、24玉、14馬、同玉、
54角、16桂、同香、15桂、36角、25香、
同角、23玉、14角、同玉、13金、24玉、
25香、同玉、17桂、24玉、36桂まで23手詰

占魚亭 「46馬、35桂合」から始めたいけど、流石に無理か。
松澤成俊 うまい受け(1六桂)の後の筋の悪い攻め(笑)はかなりの盲点
ぎょうざパン 12手目の移動合、ウマいですね。ひっかかるところでした。最後の桂跳ねは気持ち良い手順ですね。
negitarou 自作。課題15(テーマ:七手詰)の【第13問】を改良しました。8手目・「1五桂合」が罠(のつもりです)。
まつきち 桂の2段合に香の移動合は読みが必要。詰上りちょっと重い感じですが、大駒も消え、28桂も動くので解後感はまずまず。
keima82 8手目以降は素晴らしいです。まず8手目の中合。それから14手目の一旦逃げる手など、いずれも間違えてしまいました。ただ、序章、特に7手目の駒取りは気になりました。6手指した局面から☖54金、☗19香を持ち駒にして、☗17香からスタートする形の方が良かったのでは?

誤解者1名は16桂合の所で角合をした変別解答でした。
16角は同香、25桂、25角と贅沢に捨てることができます。

総評

占魚亭 作品数は少ないですが、好作ばかりでした。8が頭一つ抜けていた印象。
まつきち 「罠がある」って、ドキドキするお題ですね。出題は少なくても楽しめました(といっても、あまり解けませんでしたが…汗)
ぎょうざパン 「罠のある詰将棋」ということで、解いた後も心配ですね。「非手数順」と意地悪されたら半分は引っかかったかと思います。課題として、とても面白かったです。

成績発表

Q1 Q2 Q3 Q4 Q5 Q6 Q7 Q8 Q9 粗品
ぎょうざパン ×
keima82
松澤成俊
占魚亭 当選
まつきち
negitarou ×
松崎一郎 × × ×

厳正なる抽選の結果、当選は占魚亭さんに決まりました。
なんと三手詰祭IVに続いて連続当選。まだ三手詰祭の粗品を送っていないので、まとめて何か豪華賞品(当社比)送ります。メールしますね。

「詰将棋つくってみた(113) 課題24:結果発表」への3件のフィードバック

  1. 皆様、ご解答、短評いただきありがとうございました。とても励みになります。

    さて、今回は作品のネタ(種)が思い浮かびませんでした。過去の作品を改良したのは苦肉の策です。
    テーマ(罠)とマッチしていたか不安もありましたが、投稿することできました。

  2. 連投すいません。
    第9問の占魚亭さんの短評コメント、第8問と重複のようです。

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