詰将棋つくってみた(114) 課題24:講評

Judge:鈴川優希

 「罠」というテーマにしっくりくる作品が少なかったのが残念でした。

優秀作

第8問 馬方四季 ジャガーノート


正解
18歩、16玉、61角、43歩、17歩、同玉、
71角、62桂、18歩、16玉、43角成、25香、
17歩、同玉、44馬、26金、18歩、16玉、
28桂、27玉、26馬、同玉、17金まで23手詰

 参った。変化が多すぎて解くのを諦めた。
 4、5、6筋に歩を置かずに中合の種類と場所が限定できてしまっているのは奇跡だと思う。
 何の構想かと一言でまとめられないが(酒井手筋でもないし)、よくこんなのが成立したなと感心するばかり。特に62桂合は初めて見た。
 解答選手権で出題したら疑心暗鬼で誤解者も続出だったと思う。
 タイトルは、爆弾解除で赤を切るか青を切るかの元ネタだった気がするが、本作は二者択一というよりはえらい膨大に選択肢があってそういう印象は受けなかった。

佳作

第2問 青木裕一

正解
44角、46玉、28角まで3手詰

 3手詰ながら相当考えた。すでに35に紐がついているところ、もう1枚利かして17の角をフリーにするという発想がなかった。成れるところを寸止めという構図もよい。
 これだけ強力な攻駒に対して、余詰消しの配置も最低限でできていると思う。小学校でもAをつける。

講評

第1問 松θ拓矢

正解
75馬、56桂、64馬まで3手詰

 シンプルな移動中合。当然ながら取ってしまうと詰まないように作っているのが偉いところ。
 初手がこれしかないのが残念。65を塞いで74を塞いで53に利かせて64馬も狙っているので、こんなに効率のいい手を作意にしてしまっては紛れがない。罠が狙いの3手詰としてはもう二ひねりくらいほしい。

第3問 松田圭市

正解
15銀打、13玉、63龍、53歩、同龍、同馬、
23歩成、同銀、14歩、同銀、24銀まで11手詰

 桂の打ち場所をつくる15銀打。狙いとしてはよく伝わってくるが、当然合駒読みのときに桂合は優先度高く読むので、これに引っかかる人はいなさそう。あとは2筋に逃げる余地がないので、わざわざ25銀打で34に利かせるインセンティブが働かない。
 16の銀を打つ逆算をしなかったのはなぜだろう? 26→15とか、16→25とか、いろいろな打ち方のバリエーションを差別化して、どれが正解でしょうという謎解きっぽく仕上げれば、それなりの中編作品にはなりうる素材だと思う。

第4問 武田裕貴

正解
33銀成、24玉、35銀、25玉、26飛、35玉、
47桂、44玉、22飛成、17香成、42龍まで11手詰

 至って普通の詰将棋という感じ。最後23飛成だと移動合があるのでこれが罠ということだろうが、そもそも23飛成~43成銀という詰まし方が奇妙な感触なので、先に22飛成を考える人のほうが多いと思う。
 悪い作品というわけではないが、この収束3手からの逆算で作っているなら、もう少し好手を入れたいと思う。

第5問 ミーナ

正解
61飛、51歩、同飛不成、22玉、52飛不成、23玉、
41角、34玉、35歩、33玉、32角成まで11手詰

 ヤケクソ合だがこれは失敗作だと思う。
 打診中合と組み合わせて二段合にしたり、高木手筋と絡めたり、41角に対しても捨合が出るようにしてもらわないと面白くならない。
 もしヤケクソ合単体でまとめるなら、2017年短コン穴沢作のほうがベターなので押さえておいてほしい。

穴沢満 詰パラ2017.12

第6問 ミーナ

正解
12歩成、同玉、32飛、22銀、同飛成、同玉、
13銀、同玉、25桂、24玉、35銀、同香、
42角成、34玉、33馬、25玉、26金まで17手詰

 なかなか上手い実戦型。12歩成は最後に考えたし、銀合が出てそれをすぐさま13に放り込むのはまさに好手という感じがする。収束は平凡だが、もしもうまくまとまっていたらパラに発表してもらえばいいのでネット発表ならこれで十分。
 ただ、罠と言われると疑問。3手目13飛を想定している……? 確かに読んだけれども、それが狙いではないだろう。

第7問 やよい

正解
87角、65飛打、同角、同飛、44飛、33玉、
32桂成、同と、34飛、同玉、25と、33玉、
24と、43玉、44歩、54玉、63角成、55玉、
56とまで19手詰

 不利合駒だが、ここまで大掛かりにした割にそれだけで終わってしまうのでぜんぜん物足りない。自分が間違えているのではないかと思ったが、いろいろ検討しても狙いらしきものが見えてこなかった。
 もし作者が不利合駒という構想の存在を知らずに、自力で辿り着いたのだとしたらすごいと思うが……。
 むしろこの構図からだと、回収手筋との組み合わせができないかと夢想してしまう。

第9問 negitarou

正解
25銀、同玉、36馬、24玉、14馬、同玉、
54角、16桂、同香、15桂、36角、25香、
同角、23玉、14角、同玉、13金、24玉、
25香、同玉、17桂、24玉、36桂まで23手詰

 それなりに好作。手なりで進んで合駒もサクサク決まって気持ちがいい。
 25香の移動合に対して、同角でも大丈夫なことに気づくまでちょっと考えた。14角で捕まっている感触がいい。その後の収束も申し分なし。
 ただ、罠がどこにあったのかが不明なので、今回のテーマとしては表彰には選ばなかった。
 欲を言えば、もっと合駒を出すなどの序盤をつけたい。

「詰将棋つくってみた(114) 課題24:講評」への2件のフィードバック

  1. ご指名ありがとうございました。改めて記事で見ると辛口になってしまっていてすみません。

    ・武田作のJudge文、43成銀の誤りです。
    ・穴沢作、発表は12月です。

  2. 訂正しました。ありがとうございます。

    >辛口になってしまっていてすみません。

    Judgeそれぞれの方の個性がくっきりしていた方が楽しめます。短評も平均点も作者の投稿用紙もないのでパラの担当より大変な仕事だと思います。
    お疲れ様でした!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください