詰将棋入門(241) 久留島喜内[5] 横の捨追い趣向

三代伊藤宗看・伊藤看寿の『将棋無双』『将棋図巧』は門脇版『詰むや詰まざるや』のお陰で全貌を知ることができる。同じ時代の久留島喜内の作品は『将棋妙案』『橘仙貼璧』という作品集の名前は知っていてもその内容はなかなか知ることができなかった。
マイナビの『図式全集 将棋妙案 橘仙貼壁』の発行は非常にありがたい。

久留島喜内『将棋妙案』第18番

詰手筋満載で楽しい横追い趣向。余詰があるためか、あまり紹介されていないが楽しい作品だ。

23から14への逃走路が見えている。
となれば初手は非常手段を執るしかない。

42龍、

23玉に12龍と押さえるためには龍を捨てるよりない。

   同金、同銀不成、

さて、作意は同玉だが、23玉の変化を先に片付けておこう。

【変化図】

32馬、同玉、33金、同角、31飛成、23玉、
33龍、14玉、36角、

以下15玉、25金、16玉、13龍までで捕まっている。
そこで4手目は同玉だ。

   (42)同玉、

ここで31飛成と強力な龍を作りたいところなのだが、なんとそれでは詰まない。
ここで本局随一の妙手が登場する。

33金、

逃げ道に先着の見本のような好手だ。
分かってしまえば普通の手に見えるかもしれないが。

同玉は31飛成で実にあっさり詰む。

   同角、43金、同銀、31馬、

これで鍋に入った。
次の展開も見えてきただろう。53金、同銀と塞いで41馬だ。
でも、ちょっと巻き戻してなぜ8手目同金ではなかったのかを考えておこう。
同金なら53金に同金と取ることができ、43が空くのではないだろうか?

   (43)同金、

【変化図】

31馬、52玉、41飛成、62玉、52金、

43金の形の場合は41飛成と龍を作る。
63玉なら61龍から74金なので62玉とギリギリ躱すが、52金と打たれては以下63玉に61龍までで詰みだ。43金なので52金と打てた。43銀だったら52金が打てないという仕組みだ。

ということで、作意に戻ろう。
31馬に……

   52玉、53金、同銀、41馬、62玉、

さて51飛成で終わりかと思いきや、51には33角の利きがある。

ここからは有名な収束手順が始まるのだが(おそらく本作がオリジナルなのではないかなぁ)折角だからこの続きは明日。是非自力で解決して楽しんでいただきたい。

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