風家の蔵の奥から発見されたこの古図式『将棋図巧化』は、まだ将棋のルールも未確定の時代に作られたものらしく、作意も記されていないのでその解明は難解至極。多くの研究者が挫折してきた歴史を持っています。本図も長いこと不詰の烙印を押されていたものですが、小生が苦心の末に作意を発見したものです。
本図は詰将棋のルールがまだ確定されておらず、変動を含んだ曖昧な時代に作られたということを理解しなければ解明は不可能です。「二歩禁」ルールが決められた際に、「自らの歩の配置が二枚になれば負け」と解釈されていた地方もしくは時期があったのではと小生は気づきました。
現在玉方の歩の配置は三枚。これが二枚になったら負けなので、攻方は王手しながらこの歩を取る、玉方は取らせないように応じるという攻防が展開されるわけです。
99飛、同角成、28馬迄3手詰。
39飛では29銀成ぐらいで詰みません。しかし作意のように99飛と王手をすれば、これを同歩成とはとれません。なぜならその瞬間に玉方の歩の配置が二枚になるため「二歩禁」により許されないからです。不成と取ることも「利きのない駒の禁」で許されません。仕方なく同角成となり28馬で詰みというわけです。
2手目どこかに合をすればどうなるのか。例えば29銀成としてみましょう。
以下18馬、同玉、98飛、88歩合、同飛、78歩合、…48歩合、同飛迄歩6余り。
手余り容認の時代ゆえ、この幻想的な歩の連合こそ原作意かもしれません。
追伸:「将棋図巧化」は「しょうぎずっこけ」と読みます。
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