さて、73馬では打歩詰。
それでは別の手段に思い至っただろうか。
65馬。
馬を筋違いにしてしまうので、なんともやりにくい手だ。
94玉には76馬と桂馬の質を見ている。
74合駒には73角成で同じ事なので72玉と逃げ出すしかない。
73角成、61玉とおって次図。
61玉ならば51桂成から72歩と橋に追い詰めて簡単。
この銀は初手に打った銀。
最後の最後でこんなに洒落た消え方をするなんて。
さて、局面は残り3手に見える。
そう馬を切って頭金。
91馬、72玉。
すらっと逃げられる。
でも心配無用。
83馬という気持ち良い飛び込みが見えている。
そうか、最後に2枚馬に見得を切らせて収束か。
さすがだね。
ところが83馬も同玉とはしてくれず63馬。
なんとまだ1幕あったのだ。
ここからが本当のクライマックスだったのだ。
そして最終5手前。
これは解説不要だったはずだ。
最後までリズムに乗って一気に駆け下った。
詰上がり図をみると99飛以外の駒が実によく働いていたものと感心せざるを得ない。
(99飛ももちろん余詰・不詰を防ぐ配置なのだが)
この作品、最後の駆け下り趣向から作り始めたのは間違いなかろう。
とすると、この趣向に必要な配置を極限まで働かせ切った中盤そして序盤であることが分かる。
特に詰上がり図の39銀と19金の生まれ育ちに思いをはせて頂きたい。
最後に一気に作意手順を鑑賞されたい。
Tweet
中編まではイメージ通りの展開。しかし、後編はまったくの想定外! 大橋氏であっても正直驚いた。何度も鑑賞したくなる作品です。
掲載ありがとうございます。
収束の手順表記に誤りがあります。
27玉は37馬寄で余詰みます。
26玉が正解です。柿木のミス解です。
また、59手目65馬に74飛合とすると73角成では詰みません。
飛合の変化も載せて頂ければ幸いです。
大橋 健司
失礼しました。
棋譜ファイルは修正しました。
65飛合の変化については図面も作る必要があるので明日追記します。
解答も1通届いていましたので一緒に紹介します。
タイトルの正式名は
迷宮の鱗舞です。
スケルツォは音楽形式で
大きなスケールの輪舞です。
迷宮シリーズの最後を飾る意味で
サブタイトルとしました。
風さん。追記ありがとうございました。(本当にお疲れ様でした!)
松沢さん、解答ありがとうございました。
鱗舞は確かに松沢さんが言われるように単独で見れば「らしくない」かもしれません。
が、三部作の最終章とすれば、シンプルなこのエンディングが合っていると思うのです。
小さく翻弄される『王」左右に揺れ動く「振子」最後は上下の振動に変わり一気に駆け上がる(下がる?)「鱗舞」
セットで判断しろと言うのは独りよがりかも知れませんが、こういう表現(詰将棋と音楽)もありかな?です。