昭和の巨人北原義治の3冊目の作品集。
しかし筆者にとって『独楽のうた』『独楽のさと』は近代将棋の付録として発行されたものであるので入手は必ず(手に入れたのはつい最近),はじめて読む北原義治だった。
何度繰り返し読んだかわからない。
文章が独特で分かりにくいところもあるが面白い。
なにより作品が鮮やかでそして実によく捌ける。
北原義治は筆者の中でガウスのイメージだ。
若手が作品を発表すると「ああ,その作品は似たようなの昔作ったよ」とか「昔作ったけどまだ練れると思うのでお蔵にしているよ」という。
そしてそれは嘘ではない。
(ガウスや北原義治がそういう意地悪爺さんであったという事実を確認したわけでなく,あくまで筆者が勝手に想像しているイメージですので誤解なく。)
当時に作られうる詰将棋はすべて作っているのではないかという印象があるのだ。
野口益雄の文章を引用する。
今回,彼の大才能のうちでも,私がいちばん上質と思っている部門,すなわち「中篇作」を集めてもらいました。
2作,紹介したい。
北原義治 『独楽のたに』第12番 近代将棋 1969.8
北原義治 『独楽のたに』第56番 詰パラ 1969.1
※原図は55角の19手詰。 Tweet