2019/07/14
使用駒7枚以下の詰将棋アンソロジー。
T-Baseに収録されている2010年までの該当作10000局の中から400局を厳選。
解説は飯尾晃、小池正浩、小泉潔、佐藤和義で分担。
定価:本体2000円+税
ISBN978-4-909949-00-4 C2076
コラムから宣伝文句を引用する。
- 使用駒7枚以下という分類は初めての試みである。
一応「簡明図式」という名称を用意したのだが,結局使わなかった。近い概念に「簡素図式」がある。
1979年に岡田敏氏が近代将棋誌に連載した「簡素図式精選」では
盤面5枚以内,持駒5枚以内と定義され,ほぼこの定義が標準となっている。本書の第2章から第5章までは簡素図式の定義を満たしている。
1章の持駒6枚の作品および第6章,第7章は簡素図式の定義を満たさない。また本書の選題範囲は全日本詰将棋連盟のT-Baseに収録されている作品である。
したがって「簡素図式精選」と重なる作品も収録されているし,T-Baseが
現在カバーしている2010年までの発表作に限られる。それでも本書に収録された1979年以降の作品は275作に及ぶので,
「簡素図式精選」の続編としての役割もかなり果たしているものと自負している。 - 盤面5枚の第5章には飛角図式が多くなるだろうと思われたが,
予想通り131局中47局も選ばれた。内10作は飛角図式の第一人者江口伸治氏の作品だ。
同一作者の収録数もLimit7にしてはという意見もあったが,
良い作品はすべて集めたいという欲望が勝った。飛角図式についてまとまった資料は筆者の知る範囲では,「詰とうほく1999年5月9日」に所載されている佐原義利氏の「飛角図式」が最新だ。
1099局が紹介されている。
江口氏が飛角図式を精力的に発表し始めたのは2000年からであるので,
本書は飛角図式ファンにとっても貴重な資料となるはずである。 - 実は「使用駒7枚以内」というのはウソである。
慣習により玉方の持駒「残り駒全部」の表示を省略しているので,
見かけ上7枚以下になるにすぎない。
詰将棋は,実は2種類しか存在しない。
使用駒39枚の一般図式と,使用駒40枚の双玉図式である。しかし,だからこそ,初形が簡明でも,合駒の選択が登場することにより,
より深く広い内容を表現することができるわけだ。次にホントの話である。
盤面+持駒が7枚以下というのは,本当に厳しい創作条件である。
筆者は昔「7手詰は盤面7枚以下で創るように」と指導されたが,
全然守れず,盤面10枚までオマケしてもらった。
持駒を含まないでこの体たらくである。
それだけ研ぎ澄まされた作図が必要になる。次にぶつかるのは類似作の問題である。
告白すると筆者は本書の中で2作,同一図を作ったことがある。
(同じ思いをする読者も必ずいらっしゃることだろう)簡素な図を得ても,類似作が心配でいじくりまわし,
無駄に駒数が増えてしまうという事があれば,それは不幸な出来事である。
本書によって,その心配から解放され,より簡素な図の発表が増えたら
嬉しいことである。