上巻は王将・将棋春秋・近代将棋・将棋世界誌に書いた詰将棋の解説から選ばれた約80局分の解説が纏められている。
詰将棋に関する私の理念はほとんどこの本で言い尽くしたような気がします。
この解説文を集めて本にするというアイデアはとても良いなと思う。
栗山さんとか角さん、服部さん、柳田さん、石黒さん!
諸氏は沢山解説を書いているのだから、この本の体裁で纏めてみませんか?
穂上さんや塩沢さんの名調子も再読してみたい。
これくらいの分量を一気に読むと、解説者毎に微妙に違う詰将棋の何を良いものと感じているかの違いなども読み取れて、楽しい本になりそうだ。
つみき書店がお手伝いしまっせ。
野口氏の解説は確固とした信念で断言する所が潔い。
そして実に上手く作品を誉めている。
やはりこれが解説者の第一の資質だと思う。
いくつか引用しよう。
だいたい詰棋というものは、伊藤看寿の例に見るように、十代からせいぜい二十二三才までが、一番創作力があるらしい。理由は幾つかあるだろうが、その一つはヒマがあることだ。二十才を過ぎると職に就いたり、女性関係もあり、小遣いも少しは持って酒やお道楽といった楽しみに忙しくなったりするから、何といっても十代が詰棋創作に向いているのである。
二十五才を過ぎて詰棋を作るのは、度外れた熱心家かヒマ人である。
酷いことを平気で書いてくれる。
寧ろ爽やかだ。
官庁への贈賄も、いざその人に当るとなかなか進呈するまでに大骨折りらしいが、この8八竜捨てもその通りで、ただ差し出しただけでは受け取ってくれない。
一応、7九銀、同玉、と待合へさそってお膳立てしてから8八竜としなけりゃ、いかんのである。
こんな犯罪を教唆するような文章、筆者には怖くてとても書けない。
しかし、勉強になる(^^)。
「人」は多分「任」の誤植。
この解説が書かれた作品はこちら。
北原義治 将棋春秋 1957.8
北原義治、山中龍雄の作品が多い。
他にも山本進、南倫夫、斎藤忠、伊勢重治など懐かしい作家の名前が並んでいる。
もう1局紹介する。
大村光良 将棋 1972.6
かんたんに出来上がった作は形がいいものである。本局も玉が中段から入玉するという変化があるにもかかわらず、これっぽっちの駒配置であることは、作者の幸運であり、また手腕であろう。
薄い本だが内容は充実。
見かけたら入手する価値ありだ。
こういのはいいですね。
解説者は、それにことよせて、自分の詰棋観なり感性を書いていくべきだと思うのです。
ただ一般的に、この捨て駒が作者の狙いであるとか、完成度が高いとか、解答者が短評で書くことの延長では、せっかく解説を仰せつかった意味がない。
駒場さんのような、どぎついほどの独断、独善が書き連ねられている解説が一番面白く、また勉強にもなります。
本文にも書きましたが、安江さんの書いた解説集めた本を作りませんか?
選んでいただければ作者への連絡とか事務作業は私がやります。
・・・・・・(汗)