詰棋書紹介(87) KOBO


東京詰将棋工房作品集 KOBO  東京詰将棋工房 1993.7.1

東京詰将棋工房の第1作品集。

「我ら愉快な仲閒たち」との副題がついてゐる。
副題通り樂しい集會の樣子が讀んでゐても溢れてくるやうな樂しい作品集だ。

なにしろ自由なのだ。
詰將棋作品集と題してゐるが、決して詰將棋に縳られてはゐない。
冒頭の4局は詰將棋だが、第5局はばか詰だ。
第6局と第7局を紹介しよう。

王泉慶安 将3号 ばか自殺詰6手(鏡)


23桂、同玉、14馬、33玉、23香成、同桂まで6手詰。

23桂と王手されてゐるので、15玉の動きは鏡ルールにより桂馬になる。といつても23王とは33玉の利きがあるから取れない。
では23同馬と取れば良いではないかと思ふが、その瞬閒33玉に馬の王手がかかつてしまふ。すると33玉に15王が取られてしまふので、王を取られる手を防げない。すなはち詰みなのである。

王泉慶安 将13号ばか千日手12手


こちらは改めて說明する必要もなからう。
12手後に現局面(持駒も含む)を再現せよといふ問題である。

將棋パズルの枠さへも存在しない。

チンチロリンの論考あり、プラパズルの論考あり、ヒトコマ漫畫まである。
服部敦氏は「詰将棋雑誌の簡単な作り方」といふ案配である。

楽しそうだ。

最近、詰パラでは「ツインは出題しない」などといふ宣言がされたらしいが、多樣化の時代に眞つ向から逆行するアティチュードである。

この詰工房スタイルでよいではないか。
圖面の橫にルールを明記しておけば良いだけのことである。

この本は現在賣切れ絕版であるが、東京詰工房のサイトからpdfをダウンロードして讀むことができる。

「詰棋書紹介(87) KOBO」への2件のフィードバック

  1. 少なくとも表紙でツインは勘弁して頂きたいです。解答者も多いし、別のところで少人数でやって頂きたいです。

    1. つまり表紙はツイン禁止ではないんですね。
      一番目立つ表紙にいい作品が登場したらだんだんツインの評価も上がるでしょうね!
      みなさん、よいツインができたら、是非表紙に投稿しましょう。

      ……ということを皆考えたと思いますよ。わざわざコメントしてくれるから(^^)

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