黒川一郎「松虫」『将棋浪曼集』第29番 詰棋界 1953.10
大きな発展を遂げた「香剥がし趣向」。
その原点の作品である。
縦に並んだ玉方の香車が異様だ。
63龍が動けば72角が働いて、おそらくは36龍を質駒に見ているのだろう。
48銀、58玉、59歩、同と、同銀、57玉、
さてここからが8拍子3小節の始まり。
69桂、同香成、48銀、58玉、59歩、同成香、同銀、57玉、
持駒の桂馬が1枚減り、66香が消えた。
69桂、同香成、48銀、58玉、59香、同成香、同銀、57玉、
持駒の桂馬が1枚減り、65香が消えた。
69桂、同香成、48銀、58玉、59香、同成香、同銀、57玉、
持駒の桂馬が1枚減り、64香が消えた
69桂、同と、48銀、58玉、59香、同と、同銀、57玉、
龍が動けば、前述の通り48銀、58玉、36角成までなので同とだ。
58歩、同銀成、同銀、同玉、59銀、57玉、
いよいよ49銀を清算する。持駒も尽きたが……。
68銀左、同龍、48銀、同龍、同角、同玉、58飛、同玉、
58飛が詰将棋らしい捨駒だ。
36角成、59玉、58飛、69玉、78飛、59玉、58馬 まで59手詰
最後の78飛は88でも98でも可。
銀の往復運動で持駒の桂と盤面の香を対消滅させる趣向。
その後の発展についてはいつか書くことになるだろう。
「詰将棋入門(107) 元祖香剥がし」への1件のフィードバック