詰将棋入門(116) 受け方を考える

湯村光造 詰パラ 1957.7

詰将棋入門39も簡素な初形からじっくり考えさせる名作だったが、本作も似た傾向の作品。

初手は香を打つ一手だろう。

59香、

まずは平凡に56香合とすると

   56香、

これは5手で詰む。

46金、66玉、77金まで5手詰。

【変化図】

これは56の合駒が何であっても同じだ。
このようなときは59香が遠くにいるのが強い。
もし57香だったら77金に57玉と香を取ることができる。

そこで2手目は57に中合するとわかる。

   57香、

これを同香では逃げられる。
しかし、この瞬間、57の地点は埋まっているので、簡単に詰ますことができる。

46金、66玉、77金まで5手詰。

【変化図】

これではさっきと同じだ。
しかし、今度は合駒の種類がわかる。
最終手の77金で詰まないようにするために57の合駒は飛車だと分かるのだ。

つまり2手目は飛車の中合だと分かる。

   57飛、

同香と取るのは56桂、46金、66玉、68飛、同桂成で詰まない。

46金、66玉、56金打、

77金が打てないので56金打と重ねて攻める。

   同飛成、同金、67玉、69飛

これは合駒して57金まで11手詰だ。
6手目同飛成ではなく逃げたら……

   67玉、57金、68玉、58金、79飛打まで11手詰。

やはり11手詰。
これが作意なのだろうか?

否。
まだ受け方がある。

上の順は59香がよく利いている。
58香だったら58金とできないから詰まない。

これで2手目は58に中合と分かるのだ。

58に何を合駒するのが正解か。
順に調べていこう。

   58香、

これは取るしかない。

同香、57飛、

香が58に上ずった代わりに持駒に香が増えている。

46金、66玉、68香、

【変化図】

これは合駒して76金まで。9手だ。
香はこの場合有力な駒だった。

次は銀を調べる。

   58銀、

やはり取る一手。

同香、57飛、

これは46銀から57の飛車を取って詰む。
しかし、角合の場合も一緒に片付けてしまおう。

同香、56香、46銀(角)、66玉、77金まで9手詰。

【変化図】

56香と合駒せずに66玉とかわしたら……

同香、66玉、68飛、

これは合駒したら56金まで。
57玉でも58金、56玉、46金まで11手銀余り。

銀も46銀と打てば57に利くので、有効な駒だったのだ。

かくして作意は最後に残った金合だと分かる。

   58金、

同香、57飛、

46金、66玉、56金打、67玉、

同飛成は持駒に金1枚増えているので77金まで。

57金、68玉、69金、

最後に金捨てが入り、締まった。

   同玉、79飛打、68玉、78飛引まで15手詰。

簡素な初形から、金飛車の連合(れんあい)が出現する珠玉のような作品だ。

「詰将棋入門(116) 受け方を考える」への2件のフィードバック

  1. 2手目57飛の変化図のところに、

    > 同香と取るのは56香、46金、66玉、68飛、67歩、77金、57玉、67金、同香成で詰まない。

    とありますが、その手順ですと67歩に56金で詰んでませんでょうか?
    68飛を取れるように、57同香には56桂とするのかなと思いました。

    1. 本当ですね。1手詰を見落とすとは!
      ご指摘ありがとうございました。
      修正しました。

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