【素材図】
【素材図】は不詰です。
35角に14玉ならば24龍までの3手詰なので、35角には24に間駒を打ちます。
同龍、12玉に間駒を打って、11玉に44角までなので、24の間駒は桂馬に限定されています。
この素材を先人たちはどのように作品にしていったのかを見てみましょう。
私の検索に引っかかった作品を年代順に並べていきます。
竹内伸 風ぐるま 1955.5
この作者、まとめて作品を並べてみたい作家の一人です。
24歩、35桂の2枚の邪魔駒は35角の隠蔽に成功しているとはいえませんが、35角自体に銀頭の限定打という妙手性を持たせ、収束もコンパクトに纏めています。
天工生 詰パラ1970.9
25桂、同角と塞ぐ収束が素直です。
序に25桂の邪魔駒を配し、桂合を追加してスマートな仕上げです。
田中徹 詰パラ1979.6
33桂を動かすというロジックで24捨合を2回実現している。
『Limit7』#219に収録されています。、
橋本孝治 近代将棋1985.10
オールド詰棋ストは、この素材だったらこの作品をまず思い出すのではないでしょうか。
「33香の邪魔駒を消去してもう一度」という傑作です。
将棋マガジン編集部 将棋マガジン1988.11
詰将棋の作り方の類いの記事でしょうか。
あきらかに上の天工生作と橋本孝治作を換骨奪胎(いやこの使い方は誤用らしいが)したものです。
山田康平 詰パラ 1989.6
『Limit 7』#236にも収録されている作品です。
上のマガジンの記事を読んで、「ん?これまだ飛角図式にするのに1枚飛が残っているし、桂合だせるんとちゃうか?」と5分くらいで作られたものと想像します。
野村量 詰パラ 2000.3
26角が邪魔駒になるという発想で新作に仕上げる視点と技術に感心します。
本作は『野村量の詰将棋560』には収録されていません。
黒川智記 詰パラ2008.2
力点は序の飛車の近接打2連発(特に22飛)にあり、24桂合以降に新しい工夫はありません。
実はゴーストがある作家にもう1作あったと囁くのですが、見つけられませんでした。
他にも知っている作品があったらコメントで教えてください。
そして実は山本昭一にもこの素材を扱った作品があります。
近日発売の改訂新版『怒濤』をお待ちください。
田中徹さんになかったかなぁ。
ありがとうございます。
追記しました。
『Limit7』に入っているのに思い出せないとは情けないです。
伊藤果氏に、玉方12玉43角、攻方24飛35飛46角、という図があります。約40年前のNHK教育の特別番組で出題されていました(初出かどうか不明)。当時のコンピュータに詰将棋を解かせる番組でした。
飛角図式にしようと思えば辿り着けそうな図で、後年に某氏が将棋世界に同一図を投稿して選題されてしまったこともありました。山田康平氏作まで逆算しないと飛角図式の新作として発表してはいけなかったようです。
ありがとうございます。
まだまだありそうですね。まとめて追記します。
空気ラボさんで検索すると本図も三重衝突!
伊藤果 報知新聞1979.9.30
松見寿夫 将棋世界1987.10
井内直紀 詰棋めいと1992.7
2017年10月号大学院の自作もそうです。長編の序奏ですが。
情報ありがとうございます。
2010年以降はT-Baseが配布されていないので助かります!