酒井克彦『からくり箱』第32番 詰パラ 1971.12
なぜ『からくり箱』が売れ残っているか謎なので、まずは15手詰の比較的単純な作品で酒井克彦の世界に入門していただきたい。
無防備図式。
初手は1つしかない。
28角、
同玉は25龍と回って簡単。
18玉、
今度は2択。
しかし、実質1択だろう。
29角、
27玉ならば25龍から38龍で詰み。
同玉、
次も当然の一手だ。
69龍左、
間駒しても同龍ととられるだけ……。
18玉、
ん、これは開き王手すれば詰むんじゃないか?
39角、
やはり間駒は効かないようだ。
27玉、
38龍まで9手詰。
こんな平凡な順でお仕舞いのわけがない。
ところがこの作品が詰パラに発表された際には、誤解者が9名もでた。
これは「東西対抗コンクール」という催しだったため、作者名が出題自に明らかにされていなかったためだと思われる。
作者名が「酒井克彦」だったら、みなもっと慎重に手順を確認したはずだからだ。
正解は6手目が違っている。
39銀、
間駒は同龍と取られるのだが、同龍と取らせるのが目的の間駒がある。
同龍、18玉
39龍がいるお陰で、39角と引けなくなっている訳だ。
間駒は角だったら36角から19龍で詰む。
金と銀の可能性があるが、正解は銀。理由は直ぐ分かる。
この打開手順が理想的。
29龍、
19龍ではなく、29龍と捨てるのが巧い手。
27玉には19角、17玉、18龍左を見ている。
同玉、18銀、
間駒が金だったら同玉に、19金まで。
同玉、
これで39龍が原型消去されたことになる。
39角、27玉、28龍まで 15手詰
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素晴らしい作品と思いますが発表が1971年と聞くと、もう新作でこれを超える作はあり得ないんじゃないかと、創作意欲がなくなるんですよね。
松田さんなら創れます!