第1回三手詰祭の正解発表、いよいよ最終回です。
まだ解いていない方はこちらから⇒三手詰祭1, pdf
投票を受けた数を★が表しています。
第41問 風みどり
正解26龍、同玉、25飛まで3手詰
◇玉の呼び込み目的の捨駒です。
◇配置を広くとって紛れを求めましたが、やはり余詰筋も強く、守備駒を3枚も置く必要がありました。★★★★★
占魚亭 と金を取らせない。
Yukina-Gi この詰み上がりは想像しませんでした。
十姉妹 一見玉が広そうでしたが初手がなるほどでした。
エレーン 初手が見えづらい。直感は初手飛車打ちだったので。
keima82 創作練習の例題図で1度見た図でしたが、何故か初手が盲点になりました。
AKIYA TAKAHIRO 初形は散らかって見えるが、詰め上がり図は片付いた感じ。たった3手で。
第42問 keima82
正解35飛成、同桂、33角成まで3手詰
◇邪魔駒消去の捨駒。
◇33飛がいなければ33角成までの詰み。しかし34飛成か35飛成かの二択を作者は仕掛けました。切り分けの鍵は15玉の変化です。35飛成として26に利きを作らないと37角までの詰みにならないという訳です。★
占魚亭 33飛がなれけば、ですね。
けんすー 15玉の変化に37角が用意されてるのが好きです。
まつきち 変化を駒余りにするためだけの駒配置は好きになれません。
第43問 keima82
正解17飛、同桂不成、36角まで3手詰
◇守備駒を移動して攻方線駒の利きを通すための捨駒です。
◇第21問と同様に2手目の応手に作者の狙いを籠めました。すなわち同桂成ならば29角まで駒余り。
◇ところで初手16金だとどうなるのでしょう。17金。同桂不成、…で36角ができません。つまり初手は27飛という邪魔駒を消す意味もあったのでした。★★★
松田圭市 桂不成がシブい。
けんすー 玉方の応手を考える入門によさそう
springs 金ではなく飛車を捨てるのが良いですね。
占魚亭 2手目の応手に要注意。桂成は29角までの駒余り。
第44問 松田圭市
正解37飛、同飛成、25角まで3手詰
◇第40問と正面衝突した作品です。解答者の判定は松田作に支持が集まりました。★★★★
貴棋 40と同じだが最終手限定な分こちらが良いか。
占魚亭 仕上がりの良さで第40番の方に軍配を上げます。
高橋美鈴 飛車筋をそらして、角が出る。実戦で実現したいものです。
springs 同飛/36合ともに詰ます駒が角で統一されているのが良いと思いました。
第45問 keima82
正解47龍、同香不成、68角成まで3手詰
◇守備駒を移動して攻方線駒の利きを通る目的の捨駒です。
◇銀・桂と来たので香不成が登場するだろうと予想した方も多いでしょう。★★
まつきち 「龍捨・香生」をこの駒数で実現したところを高く評価
占魚亭 角のラインを抉じ開ける。2手目香成は49馬までの駒余り。
松θ拓矢 ウッカリ成としそうなところ、さりげなく不成限定。3手詰で誤答を出せる作品は希少なので優秀作に推したい。
keima82 自作。21番、43番ともに「2手目不成」が主張でしたが、この問題だけ成の順が変別解になっていて、紛らわしいことこの上ないですね。混乱された方ごめんなさい。
◇「誤答を出せる」とか「変別解」とか専門用語が飛び交っているので、ちょっと補足します。
- 47龍、同香不成、68角成まで3手詰……作意
- 47龍、同香成、49馬まで3手駒余……変化
◇ところが次のような解答が届いたとします。
- 47龍、同香成、68角成まで3手詰……
◇この解答は同香成という変化における別詰です。(変化の中でのことなので余詰という用語は使いません)そこで3つ目の解答を変別解というのです。
◇この変別解を正解扱いとするかそれとも不正解とするかで詰棋界は長い間論争を繰り返してきました。
◇根拠は分からないのですが、どうも現在は変別解は不正解にするというのが原則のようです。そこで「誤答」という言葉がでてくるというわけです。
◇風みどりは以前「詰将棋のルール論争」という連載を書きました。第1部が詰将棋の範囲について、いずれ第2部として解答審査について書こうと思って少しばかりは勉強もしたのですが、むずかしくてオイラには分からんと、知らんぷりを決め込んでいるところです。大体、苦労して書いても自分でも面白くないものですから。読む人はもっと面白くないでしょう。
◇という訳で、ここでは「39金・49とはなくても作意は香の成/不成非限定で成立している。2枚の駒を追加して香不成に限定することが価値あることだろうか」とやや見当違いの感想を述べるだけにさせていただきます。(すたこらさっさ)
◇変別解については懸賞出題をする主体が解答審査方法についても各々決定すればいいのではないかと考えています。
第46問 極暖布団
正解53飛、同角、57金まで3手詰
◇第36問と似た構造を持った作品です。
◇55飛では47玉で詰みません。47玉には58飛成とする必要があるので53飛と打つのですが、結果的にこれが捨駒になり守備駒を移動して利きを外す効果を得ます。
◇36問と違って変同がないのが流石です。好評でした。★★★★
占魚亭 角を釣る。第36番のパターンですね。
貴棋 36と同じだが紛れの多さではこちらが良い。
negitarou 初手・57飛も考えて、結構悩みました。可成地帯をうまく活用した問題ですね。
keima82 27番や36番等と似たような主張。やはり条件が最大のヒントですぐ解けましたが、知らずに解いてたら何十分もハマっていたと思います。☖76歩は置きたくないですが、2手目☖66玉の変化をスッキリさせるためにはやむを得ないでしょうか。
第47問 keima82
正解82龍、同歩、62龍まで3手詰
◇初手は62龍と82龍の二択。しかもどちらも角または歩に取られてしまいます。正解はどちらだという作者の謎かけです。鍵は99角の存在で、82龍で99角の利きを伸ばし、44角をピンするのが正解でした。
◇捨駒の目的は攻方の邪魔駒消去で攻方線駒の利きを通すことでした。44角を動かして両王手という筋も見えて効果的でした。
◇9票を得て、今回の一番人気でした。★★★★★★★★★
占魚亭 龍を動かす順番が大事。
松田圭市 両王手ができそうでできない。
十姉妹 どちらから行こうか悩みました。
Yukina-Gi 最初は両王手の筋かと思いました。
けんすー 手順前後の概念を簡単に学べる作品だと思いました。
Y.Yama 9九角の効きがあるため、4四角が龍取りにいけません
高橋美鈴 まず、どちらの龍で王手をかけるか、からのバッテリー!盤面も広々と気持ちの良い詰みでした。
negitarou 初形の配置が好みです。3手目は両王手っぽいのに、両王手でないのが面白いですね(合駒利かず?)。
AKIYA TAKAHIRO 詰将棋の本に採録されていたとしたら、ページをめくって、『ピンメイト』もしくは『遠見の角』と書いてあるのが見えた。
第48問 keima82
正解26飛、同玉、37馬まで3手詰
◇あれ?飛車を捨てる三手詰のはずだったが…と確認してみました。
チョー入門課題
○○飛(成)、同○、○○■まで3手詰
のタイプの3手詰を10局以上作ってください。
◇確かに条件を満たしています。こういうアイデアは大好きです。
◇ちなみに風みどりこの「26飛車」は捨駒とはいえないと思っています。用語の定義の問題ですから作品の善し悪しとは無関係です。「間接捨駒」と呼ぶ方もいるから捨駒としてもかまいませんが。★
占魚亭 邪魔駒消去。
松田圭市 こんな飛捨てがあるのか。
keima82 自作。全作品中唯一、「初手が飛車の王手ではないが飛車捨てになっている」のが主張。ただ、こんなにたくさん駒を配置しないと実現できないテーマとは到底思えません。
第49問 keima82
正解36飛、同角、27飛まで3手詰
◇角の王手が自玉に掛かっている非常事態。2枚の飛車の連続移動合で凌ぐと同時に68馬の利きで詰んでいます。逆王手3回も狙いでしょう。
◇初手の目的は邪魔駒消去です。27飛と移動合駒する手を同時に35玉への開き王手とするには46飛の存在が邪魔なのでした。
◇巧いのは初手に36飛と45飛の二択を用意したことです。45飛は同歩で、これが詰みそうで詰まないのです。★★★★★
占魚亭 飛車の盾。
Y.Yama 開き王手で決まりました
貴棋 逆王手だけで詰むのは痛快。
けんすー 24玉に17飛の変化が好きです
まつきち 逆王手をかけさせて限定移動というのが光る。
高橋美鈴 パズルみたいな配列の駒の中で、詰み逃れの詰み、大駒を大胆に使った名作。
negitarou 双玉ならではの問題。飛車で次々、角の王手を遮断。3手目は、王手を遮断しながらの透かし詰め!(開き王手!)
keima82 自作。駒数ワースト3を占めてしまいました。ですが、主張したいことは表現できたので、見た目は気にしないようにします。
総評
Y.Yama 解けない問題もあり、三手詰の奥深さを感じました。
松θ拓矢 創作チョー入門というわりにベテランの方が多い気がするw
◇同感です(^^;; 布団さんの登場が嬉しいですね!
けんすー 全作品楽しく解かせていただきました。ありがとうございました。
占魚亭 教材向き(一部、凝った作もありましたけど)の3手詰祭でしたね。
高橋美鈴 ちなみに、第27問と、第41問は自力で解けない難問でした(–;)
貴棋 三手詰めでこれだけ表現できるのは凄い。とても良い企画で勉強になりました。
タツ twitterよりブログを拝見しました。とても楽しめました。ありがとうございます。
negitarou その他では、keima82さんの「2手目・不成シリーズ」(第43問、第45問)が楽しかったです。あと、第19問が難しかったですね。
まつきち 多くの作品がどこかで見たような筋で構成されていると感じられました。これは3手詰の限界かもしれず、やむを得ないところ。ということで洗練されているとか、変化や紛れの処理が巧みとか、そういう切り口で選ぶことになりました。
keima82 気に入った5問は、27,32,36,38,46。2月の課題にもなっていますが、限定打で捨てる問題に弱いようです。それから、3手詰だと変同を気にされない…と言うより、故意に変同にして2つの手順を表現している感じの作品が多いなあと言った印象でした。自作は質駒を追加してでも手順を1通りに限定したい人です。
当選者発表
厳正なる抽選の結果、当選者は高橋美鈴さんに決まりました。
『増補新版すなどけい』を送りますので、郵便番号住所氏名をメールしてください。
追記(2022.2.25)
解説が非常に丁寧でありがたいです。短評に対する解説まで入れていただけるとは。。なお、自作の47番に最多票が集まりました。自分としてはこの問題に票が集まったのはかなり意外だったのですが、入れてくださった方には感謝したいです。(自己評価が最も高い自作は43番でした)。 https://t.co/07SG6jJ0M9
— 桂馬(keima82) (@keima82) February 24, 2022
風みどり先生やkema82先生、占魚亭先生には、私の心の内が全てお見通しなんやろな(^_^;)。
問39は儂の好みで言うと玉方1一香なんですが、初手不成が成立してしまうので、今回は創作初心者の方も多く見られるかと思い、極力手順完全限定を目指しての1一銀配置にしました。 https://t.co/FaKjMuzZJy
— 牌姫みつかづ(詰将棋kisy門下、麻雀いそむー研究会) (@0_JanHaikiTsume) February 24, 2022
https://twitter.com/nao_in_futon/status/1496878988119396352?s=20&t=RjUxx1uF-tLbf1M7JWiAgA
『増補新版すなどけい』の5番と6番がこの課題に合致します。
こんばんは、初心者の私が当選なんて、申し訳なく、でも嬉しいです。
これからも頑張ります( ^_^)
抽選は厳正にrand()を10回振った時点と決めて行っています。内心、初解答者の方の中から出るとイイナと思っていたので私も嬉しいです!
大量の解説お疲れさまでした。
49番のコメントは「逆王手をかけさせて」の間違いでした。
45番の解説ですが、作者の立場では変化を割り切ったつもりなのに選者(解説者)の判断で変別解も○になるのは、いささか抵抗のあるところ。変別の取り扱いはいったん結論の出ているところなので議論をしたいとは思いませんが、作家と解答者の双方が納得できる線引きは難しそうですね。ということで私も「すたこらさっさ」組に入ります(笑)
コメントは修正しておきました。
変別解に関しては短手数変化がある場合と、同手数で駒余りの順がある場合では区別したいような気がしています。
でも、その話題はいつの日が別のエントリーで……(好きな人同士でやって欲しいです^^)
変化別詰解答というんですね。
回答側としては違和感を感じつつも成立してるから問題ないとスルーしてましたが、不正解扱いとするなら、ある意味最強の紛れかも知れない。
成でも不成でも成立するが、不成なら手順が一通り、成なら別手順も成立。作る側としての希望限定?かと思っていた疑問が、むしろ罠?として良いと知れました。
45番の作者です。初心者向けの3手詰めの企画で出すような問題ではないとはわかっていながらも、どうしても改良策を思いつかず、出題させていただきました(厳密には双玉を利用した図ならできたのですが、双玉の意味づけが変別防ぎのみでは悲しいのでその図は却下としました)。
変別解は現代のルールでは、不正解とされていますので、「ルール上は」45番の問題は完全作ということになります。その一方で、「変別を利用して誤答を誘うのはマナーが悪い」という意見が多く見られるのも事実です。そんな中、θ様のご意見はむしろ誤答させることを賞賛される内容で、そういった意見もあるのだなと意外に感じました。おそらく、θ様のご意見は3手詰に限定したものであり、もっと長い手数の作品で合流型変別があったらさすがにお叱りを受けてるとは思います。
まあ、初心者向けの記事のコメントで変別議論を延々とするのはアレかと思いますので、本問の話はほどほどにしておきます。
47番には多数の票が入りました。駒数が多く、初手も2択しかないので、自分としてはそれほど評価は高くなかったのですが、投票していただいた方々には感謝申し上げます。その他の問題を解いていただいた方、短評を書いていただいた方、毎回企画を実行してくださっている風みどり様にも感謝しております。