詰将棋つくってみた(74) 課題15:講評

Judge : 上谷直希

優秀作

第12問 馬方四季

正解 72角、63金、54角、同金、45銀、同金、25銀まで7手詰

 金合の連続移動。縦型で実現させた作品はよく見るが、ナナメ方向は新鮮な印象を受けます。構図も洗練されていて好みです。これだけの仕掛けでできるとは!

第19問 松θ拓矢 ダブルレーザー

正解 23歩成、54角、24香、47香成、25桂、18角成、13桂成まで7手詰

 2手目が香合ならばありふれた作品ですが、遮蔽物を挟んで18の香を睨む角合が妙手。これは結構新しいのでは?

佳作

第3問 武田裕貴 最後の1ピース?

正解 75龍、45香、76龍、57玉、48金、同香成、56龍まで7手詰

 シンプルな仕掛けで捨合→移動を実現。

奨励賞

第7問 ベターハーフ

正解 25桂、同金、34と、12玉、13飛成、同玉、14香まで7手詰

 初登場の作者でしょうか(間違っていたらすみません)。ありがたいですね。これからもよろしくお願いいたします。 
 手順は素直ながら手順前後には少し注意が要りますね。
 収束も好印象。

第16問 山澤光太

正解 46飛、同角成、55金、同香、45歩、同馬、33銀生まで7手詰

 この方も初登場でしょうか。ありがとうございます。
角の成生を見て対応を変えるのは習いある手筋ですがなかなか高度なことをやってのけますね。次作も楽しみです。

講評

第1問 negitarou

正解 35角成、15玉、16歩、同玉、27銀、同玉、17馬まで7手詰

 全体を振り返ると本作が今回の氏の作品で一番好印象かもしれない。

第2問 はせがわ ゆ

正解 52銀打、同飛、62銀、同飛、63桂生、同飛、52金まで7手詰

 桂跳ねで引き締まりました。

第4問 negitarou(その2)

正解 46金、34玉、43馬、24玉、15馬、同玉、25馬まで7手詰

 収束で大駒を捨ててこそいますが、そこに至るまでの手順が淡泊なのが気になります。

第5問 negitarou(その3)

正解 54銀、44玉、43銀成、45玉、54銀、同玉、55金まで7手詰

 成銀の準備に7手のうちの半分以上を使用したわりに、その成銀が詰め上がりであまり働いていないので、もったいない気がします。

第6問 松田圭市

正解 31銀成、同玉、11飛成、21角、32香、同玉、42香成まで7手詰

 角合されても大丈夫。

第8問 武田裕貴(その2)

正解 63銀成、74玉、64成銀、同馬、65馬、同馬、73龍まで7手詰

 捨駒が気持ちいいですが、深淵な狙いがもしあったとすれば私は気付けていないかもしれません……。

第9問 negitarou(その4)

正解 46銀、同玉、35飛成、57玉、55龍、56合、58金まで7手詰

 この収束はちょっと……。

第10問 negitarou(その5)

正解 64銀成、45玉、46歩、44玉、66角、55合、45香まで7手詰

 歩香重ね打ち的な雰囲気が狙い?

第11問 negitarou(その6)

正解 33歩成、23香、46歩、同桂、34飛、27香成、44銀成まで7手詰

 詰むことには詰みますが、主眼がどこなのかは分からず。

第13問 negitarou(その7)

正解 16馬、24玉、15馬、同玉、54角、24玉、15金まで7手詰

 露骨な駒取りはちょっと……。

第14問 negitarou(その8)

正解 26桂、25玉、43角成、26玉、16馬、37玉、64馬まで7手詰

 詰め上がりはアクロバティック。ただもし詰め上がりが主眼だとするならば、そこに至るまでと構図のとり方に疑問が残ります。アンバランスな印象。

第15問 keima82

正解 56金、同歩、66龍、同桂、28飛、79香成、46銀まで7手詰

 順々に蓋をしていく。

第17問 はせがわ ゆ(その2)

正解 66銀、84玉、54馬、93玉、84龍、同玉、55銀まで7手詰

 2手目の変化に手こずった。

第18問 negitarou(その9)

正解 33飛、54玉、43飛成、同玉、44金、32玉、24桂まで7手詰

 この図を一目見て、正直推敲不足だと感じました。
少し考えてみたら、このあたりまでにはまとめられます(最善かどうかは分かりませんが)。

 過去の登場も拝見して、創作の経験を重ねてこられたと思われますのであえて厳しいことを書きます。たくさん創作してたくさん投稿することは悪いことではありませんが、まずは目の前の一作一作について、もうこれ以上改善の余地はないか、やり残したことはないか考えてみましょう。次の作品の創作に進むのはその後でも遅くはありません。

第20問 はせがわ ゆ(その3) 冴えてないけど一つのやり方

正解 41飛、42銀、43角成、同銀、42角成、34銀、43馬まで7手詰

 ペレ+シフマンを7手で実現。
 完成度は大崎氏作・夜神ココ氏作が勝るでしょうか(詰パラ2021年4月ちえのわ雑文集参照)。タイトルから判断するに、作者もこの記事の存在をご存知なのかなあと推察いたします。

第21問 松θ拓矢(その2)

正解 38龍、37角、35歩、33玉、55馬、同角成、34歩まで7手詰

 狙いは明快ですが配置が大仰でしょうか。手順としては山田康一氏作(詰パラ 平成6年2月号 下図)を思い出しました。意味付けの面白さは本局のほうが勝りますが。

総評


 配置へのコメントが多くてごめんなさい。そういう人間なのです。あまり気にしない派の方は聞き流しておいてください。

「詰将棋つくってみた(74) 課題15:講評」への2件のフィードバック

  1. 上谷さん、お疲れさまでした。
    優秀作、佳作、奨励賞に選ばれた作品、いずれも好作揃いですね。(19番は誤解しましたが(笑)あらためて受けの妙技に感心しました)

    このコーナーいつも楽しみにしていますが、Judgeが毎回豪華な顔ぶれで素晴らしい。皆さんのコメントも作家と作品への愛に溢れていて、見習わないといけません(なかなかその域には達しませんが 汗)。
    作家の皆さんにはJudgeのコメントや解答者の短評から、あらたな気づきを得られることが多々あったと思います。それが今後の創作や飛躍につながればいうことなし。引き続き面白い作品を見せていただければ嬉しいです。

    作品の評価を受ける機会、昔は文通だったり、近隣に詰棋友がいればプチ会合だったり、パラはハードル高いので「詰将棋の詩」のようなミニコミ詩に発表したりと、時とともに移り変わりました。
    今はネットの世界でこうやって切磋琢磨の機会があるというのはとてもいいことですね。こういう場を提供されている風みどりさんにはあらためて感謝と敬意を表します。
    どうもくだらないことをグダグダと失礼しました。 以上

    1. まつきちさんも『教材に使える』で忙しくない時期に、是非ともJudgeをお願いします。何月だったら可能ですか?

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