水上仁「マリー」詰パラ1993.11
最近は”趣向”というと”繰り返し趣向”という印象があるがもちろんそういうことではない。
辞書には「味わいやおもしろみがでるようくふうすること。また、そのくふう。意匠。」とあるが、もともとそのような意味で使われていたものだ。本作、なかなか見ない趣向。87手の大作だ。
手数も長いし、変化も難しいので、今日は単純に作意表面を辿って手順を観賞することにする。(鑑賞ではなく)
14龍、12金、
いきなり間駒から入る。
他合は22銀から24龍という筋。
33角成、22金打、
またもや金合。
他合は12龍から23銀~22金という筋。
同馬、同玉、24龍、23金打、
またまた金合。
他合は14桂から精算して簡単。
13銀、同金上、14桂、同金直、33金、11玉、
14龍、12金、
趣向がわかってきたようだ。
他合は21金から23龍の筋。
22金打、同金引、同金、同玉、33金、同玉、
43桂成、22玉、33銀、31玉、32銀成、同銀、
同成桂、同玉、12龍、22金、
ここの間駒は次の間駒の選択とも絡んで手数も長い。
今日は省略。
54角成、43金、
他合は23銀、41玉、42金の筋。
42金、同玉、22龍、32金、
他合は51銀!、41玉、42金で精算の筋。
53銀、同歩、52金、同玉、32龍、42金打、
他合は63金~31龍~61香成の筋。かなり深い。
63金、51玉、61香成、同玉、43馬、52金打、
他合は51金、同玉、42馬で簡単。
51金、同玉、42馬、同金、62金打、同飛、
同金、同玉、42龍、52金、
他合は74桂、同香、73金、同玉、83飛、62玉、53飛成、71玉、51龍の筋。
74桂、同香、82飛、72金、
弱い駒は73金~83歩成の筋。
角銀合は作意同様に追って斜め後ろの利きがあるから早い。
同飛成、同玉、52龍、73玉、53龍、84玉、
76桂、95玉、93龍、94金、
他合は……これは流石に説明の用はないだろう。
同龍、同玉、95歩、同玉、86金、同玉、
77金、96玉、
ここで86からでも87からでも金を打って詰むのが本作の弱点。
64手目の間駒とも絡む収束なので仕方のない苦渋の決断だったのだろう。
86金打、97玉、87金引、98玉、88金打まで87手詰
それにしても繰り返しでなく金合が1ダースも登場するとは豪華絢爛。
他合が一切出てこないもの意識的な演出だ。
収束の乱れがなかったらと今更ながら惜しまれる。
詰パラの発行人になって間もない時期だが、すでに次のような短評をもらえるのが作者の人徳だろう。
森田銀杏—金に対する執着の凄さに脱帽!
(いや本当に誉めてるんですよ)
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やはり詰パラは宗教経営なんですかね。