詰将棋入門(211) 七色図式の傑作

水上仁 近将1988.8

七色図式とは初形における(見えている)使用駒が飛角金銀桂香歩各1枚の作品のこと。いつも思うのだが玉はいつも無視されて可哀想である。玉だけは無色透明なのだろうか。

44桂がいなければ3手詰。捨てるのは32か52か。どちらにしても玉は取れないので逃げる。
だったら77角の利きが届いている右辺に追うのが正解だろう。

52桂成、31玉、41成桂、21玉、

角の利きを頼りに飛車を使うしかなかろう。

25飛、32玉、43銀成、同玉、

待望の金を入手。

23飛成、52玉、51成桂、62玉、

持駒金で一間龍で詰むのは41までだが、77角がいるので51成桂もとれない。
61成桂とも追えるが72玉で83からの脱出が見えている。
ここは足の長い角の出番だ。

44角、72玉、71角成、83玉、

逃げられそうだが大丈夫。

93馬、72玉、

93同玉、73龍は岡田秋葭作を知らなくても持駒金香なら詰むことがわかる。
しかし次の手が難しい。71馬では千日手だ。
51成桂がいなければ63金で簡単なのだが……次は決断の一手。

83金、62玉、73金、51玉、

金を手放す。香を入手できたが急に手元が寂しくなった。
ここで53龍が自然に見えるが、41玉、43香、32玉、42香成、22玉で王手がない。
75歩の意味はここで66馬を消すためにあるようだ。
再び決断の一手を余儀なくされる。

62金、同玉、84馬、52玉、

71玉の変化が難しい。74香に72合となるがアタマに利く駒だったら同香成から73龍で詰む。
72桂合が一番長いが同香成、同玉に64桂と打って詰みだ。

52玉にそろそろ収束かと思わせて、作者はとびきりの妙手を用意していた。

59香、

最遠打。これで痺れている。
変化からつぶそう。

   61玉、83馬、

【変化図】

合駒したら63龍で終了。

   42玉、75馬、

【変化図】

42玉は一番簡単。3手詰だ。
そこで正解は

   41玉、

これで切れているように見える。
51馬だったら31玉だ。
もう一つ馬の王手がある。

74馬、31玉、

【失敗図】

あと1歩あれば32歩で詰む。
と、いうことは59香に中合は無いということが分かる。
桂馬でも43桂だ。

そこで41玉には馬ではなく龍で攻める。

21龍、

合駒したら51馬まで。

42玉、51馬、43玉、

玉は当然上部に逃れる。

23龍、44玉、62馬、45玉、

59香と遠打した意味が見えてきた。

25龍、46玉、73馬、47玉、

58香だったら逃げられてしまうことが分る。

27龍、48玉、37馬、49玉、38龍まで45手詰

本局の瑕は最終3手目37馬の所で28龍でも詰むことだ。95馬という手がある。
今だったら七色図式は諦めてもう1枚駒を置くところかも。

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