詰将棋雑談(83) 香剥総浚[其の十四]

今回は1994~1996年に発表された作品を並べる。

鮎川まどか「森の古城」 近将1994.2

桂で香を剥がし、香を桂に間駒で替える何度も見たパターン。小駒図ではなく玉の移動に馬を用いた。

山本善章 詰パラ1994.2

角で香を剥がし香打ちに対して角の中合という夢のような順だが、45角でなく23角で簡単に詰む。
この余詰を見落とすかと驚くが担当は森長宏明氏。氏にしても見落とすときは見落とすということで、なんだか安心しますな。

鮎川まどか「硝子の城」 近将1996.6

金で香を剥がし、その香を金の中合で金に戻す。
これはオリジナルな剥がし方だ。香の中合だと9筋に歩を連打して99香までで詰む。
収束も大駒が消えて満足感あり。

ところで近将の解説で服部敦氏がこう書いている。

『香ハガシ趣向』は作家にも解答者にも大変好まれている主題である。昭和27年に黒川一郎氏が第1号を発表して以来、200局近く作られているのではないか。

この連載では連番をつけていないが、まだ50局にも至っていない。「200局近く」とあまりに隔たっているが……。

今村修「ラクダに揺られて」 近将1996.6

200手を超える大作!しかし難解作ではない。
桂を入手する序盤、香剥がしの中盤、2枚とも馬が消える収束と完璧!

T-Baseにはタイトルが「ラクダニ揺ラレ」とあったが近将を確認してみたら上記の通りだった。
この頃、氏は「ラクダ」シリーズを発表していたのだったっけ?

相馬康幸 近将1996.12

銀香の複合剥がし。剥がす毎に玉龍が小さく1回転する。
複合ハガシが相馬康幸の手にかかるといとも簡単に作れるように錯覚してしまうような完成度。

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