長編詰将棋の世界(25) 一往復半

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

中出慶一 詰パラ2010.12

棋譜ファイル

21桂成、同玉、98角、11玉、12歩、同玉、
24桂、13玉、12桂成、同玉、89角、21玉、
22と、同玉、55角、21玉、11角成、同玉、
18飛、22玉、12飛成、33玉、23龍、44玉、
34龍、55玉、45龍、66玉、56龍、77玉、
67龍、88玉、78龍、97玉、98龍、86玉、
85と、76玉、77歩、同玉、78龍、66玉、
67龍、55玉、65龍、44玉、35金、33玉、
34金、22玉、23金、21玉、22金、同玉、
25龍、33玉、23龍、44玉、34龍、55玉、
45龍、66玉、56龍、77玉、67龍、88玉、
78龍、99玉、98龍まで69手詰

76歩は同角、11玉、12歩、同玉、24桂、13玉、23と、14玉、15歩、23玉、32角成、同歩、同飛成以下
32桂は同角成、同歩、同と、同玉、24桂、43玉、32飛成、54玉、34龍以下
11玉は21角成、同玉、32と、11玉、55角まで
34桂は同角、11玉、22と、同玉、55角、33桂、23角成、同玉、33角成以下

☆同人作家中出氏。かつては意表の着手を狙いとする超短編が看板だったが、今世紀になってからは長編作家に転身したようだ。名声や期待に囚われず、自由に作図を楽しむ姿勢は見習いたい。

☆本作のメインディッシュは斜め龍追い1往復半。テーマもボリュームも軽いが、主題と密接に繋がった序盤の作り方と配置の軽さが気に入った。合駒や中合がききそうな98角の不安感もよい。

☆解答者の評判を聞こう。

加藤清隆 89角が龍を遠隔操作して玉を思い通りに操る。金の参戦が解決のポイントとなる。
永島勝利 後半一本道かと思いきや微妙にアクセントがありますね。
宮本慎一 邪魔駒捨てて、角と龍のオンパレード。
凡骨生 主題に入る前の駒捌きがアクセントになり簡素な構成の龍追いに驚く。
中沢照夫 初手22とから55角がもっともらしい紛れ筋。作意は邪魔な桂を消去して飛車を活用する。後半は龍追いによる爽快なドライブ。
鈴木 彊 序の角桂の捌きに89角を98角から89角と戻して好位置を占め龍と角の協力で玉を追い回すところは圧巻でした。最後に玉を99の位置で詰ますなど中出氏の遊び心が見えて楽しかったです。
小林 理 序盤のさばきがやや難しいが、あとは楽しい凧龍の舞い。
小川千佳夫 慥かに担当のいうとおり序盤はやや難しかったが、筋に入ってしまえば大変気持ちのいい手順が待っていた。作者らしくない好作(失礼)
加賀孝志 龍の回転が生きました。配置に無駄なく序の難問を過ぎるとスラスラ。
竹中健一 金を捨てての折り返しがうまいところですね!
池田俊哉 原型のまま36桂を消去する序盤が面白い。後半は龍追いから金にバトンタッチして折り返す辺りが楽しい
須川卓二 序でちょっと考えてあとは快適に趣向が展開される。言う事ないですね。
今川健一 序盤良し、竜追い趣向良し、難しくないのが、さらに良い。年末、大掃除の前に解図です。

☆26金は右辺を守る配置かと思っていたら、するすると昇っていき22で消えたのは感心しました。

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