課題24:罠のある詰将棋を作ってください。
無解者と誤解者は違います。
無解者は「解けなかった」ということですね。
誤解者は「解けた!」と思っていたけど結果発表をみたら「あ~れ~間違えていた」ということです。
無解者を生み出す難問を募集しているわけではありません。
誤解者を生み出すことを狙った作品を募集しています。
具体的には偽作意を持つ作品ということです。
- 手数制限はありません。
- 未発表作に限ります。
- 投稿先はkazemidori+kadai@gmail.com。
- 締切は11月29日(火)
- Judgeは鈴川優希さんです
例題1 風みどり
偽作意:31角、24玉、42角成、同飛、25歩、13玉、35角まで7手詰
作意:31角、22歩、同角成、24玉、33馬、同飛、25歩、13玉、35角まで9手詰
31角に24玉と逃げても駒余りもない7手詰になります。
しかし正解は2手目に22歩合。これで9手詰になります。
罠がある詰将棋という課題が少し理解していただけたでしょうか。
しかし罠というのは厳密には定義はできないようです。
それは解答者の技能によるからで特に応手による罠は人によって受け止め方が変わります。
例題NG 風みどり
12飛成、14玉、23龍、同玉、32角成、12玉、24桂まで7手詰
この7手詰でも解答初心者の方ならば
12飛成、同銀、32角成まで3手詰
と誤解をする可能性はあります。
しかしこの順は偽作意とは判定しにくいものがあります。
では例題1とどこが違うのかと問われると実は困ってしまうわけです。
応手を間違えるという点では同じですから。
例題2 風みどり 詰パラ1986.11
詰手順はいっこの積木(52)をみてください。
本作は若い頃の風みどりが、誤解を狙った作品です。
ポイントは4手目の応手。
12玉か13玉の二択です。
偽作意は12玉、14香、13桂合、11飛成、同玉、13香不成以下の27手。
それなら13玉と逃げて11飛成、12金合、同龍、同玉、14香以下の31手が正解だろうと誤らせる狙いです。
正解は12玉、14香、13香合、同香成、同玉以下の35手となります。
しかし解答練達の士にかかっては例題NGとさほど変わらないという印象かもしれません。
誤解者は2名でした……。
例題3 風みどり 詰パラ2019.12改
これも詰手順はいっこの積木(58.1)をみてください。
誤解狙いのポイントは14手目の応手。
86龍を手拍子で同桂と取ってくれないかなというのが罠。
実は取れる龍を取らずに66桂と移動合をすると2手伸びるのです。
これもここだけ取り出してみると例題NGと大した違いはありませんね。
要は作者が「間違えさせようという意思」を持っているかどうかという気がしてきます。
ちなみに誤解者は0名でした……。
でも解答を寄せてくださった3名がいずれも詰パラの解答王ですからね!
応手ではなく、攻方の手で罠を仕掛けることもできます。
例題4 第2回Youtube詰将棋コンテスト2022.5.1
偽作意:12飛成、25玉、26歩、24玉、33龍、同玉、22龍まで7手詰
作意:12飛不成、25玉、26歩、24玉、33龍、同玉、22飛成まで7手詰
一見初手は成っても成らなくてもいいのではないかという手順です。
しかし実は初手に成ると……
13歩合があって打歩詰で逃れるという仕組みです。
誤解者は2名でした……。
投稿時の作意は6手目35玉でしたが、それでは最終手が成・生非限定だと気づいたので、6手目は同玉にすることにしました。
例題 小西逸生『紅玉』第42番 近代将棋1957.10
偽作意:34角、同金、32飛、同飛、23桂不成、同玉、13角成まで7手詰
綺麗な形で綺麗な手順。
しかしこれが誤解。
作意:34角、同金、32飛、同飛、23桂不成、13桂、同角成、21玉、11桂成、同玉、31馬、12合、23桂まで13手詰
例題 酒井克彦『からくり箱』第17番 近将1964.9
偽作意:38銀、18玉、19金、同玉、28歩、39金合、29金、同金、同飛、18玉、19飛、同玉、29金まで13手詰
当時、解答者の8割が上の偽作意を答えたという。
作意:38銀、18玉、19金、同玉、28歩、39銀成、同飛、28玉、29銀打、19玉、18銀、同玉、19飛、同玉、29金まで15手詰
「未発表作」とあるけれどtwitterで流した作品はダメですかと質問がありました。
昨今はtwitterも既発表とする風潮ですが、つみき書店はそんなに厳しくしても仕方ないのでインプレッション3桁まではOKとします。(1000を超えていたら既発表扱い)
例題NGの図は7手詰ではありませんか?
そうでした。訂正します……。これは恥ずかしい。