高木秀次『千早城』に登る(26) 前


※この連載は風みどりが1題ずつ高木秀次作品集『千早城』(1993)を読んでいくものです。

第26番 詰パラ1955.11改


81桂に実戦形の片鱗が残る。
作者詰パラ入選4回目の作品。


92とと金をパクりたいが同玉でもう次の手が見えない。
これは持駒の歩を活かす意味でも95歩を消去して二歩禁を回避しておくのが筋だろう。

94歩、同玉、86桂、84玉、

95角と急ぐと……93玉、92と、同玉、91金、93金で打歩詰となり行き止まり。
ここは1歩を入手する74金の一手だ。
勘では同香だが(馬が動くと51飛がフリーになる)まずは同馬の変化を潰しておこう。

74金、同馬、

95角、93玉、92と、同玉、93歩、同玉、
94歩、92玉、91金、同玉、81歩成、同玉、
82銀成、同玉、74桂、

あとは簡単だ。
それでは作意と見込んだ同香を考える。

74金、同香、

95角、93玉、92と、同玉、93歩、同玉、
94歩、92玉、91金、同玉、81歩成、同玉、
73桂、91玉、82銀成、同玉、81龍まで

おかしい。あっさり詰んでしまった。
で、応手を間違えたところはないかと遡ると……。
2手目がどうもダメだったようだ。

(94歩に)84玉、

1歩補充する必要があるので、74金としなくてはいけない。
同香・同馬はすでに確認してきた順になるから正解は同玉だ。

74金、同玉、

64金、84玉、95角、94玉、86桂、93玉、
92と、同玉、93歩、同玉、94歩、92玉、
91金、同玉、81歩成、同玉、82銀成、同玉、

ここで74桂といけないのが今までと異なるところだ。
41馬が良く利いている。

そこで邪魔っぽい64金を捌いてみる。

73金、92玉、

73金に同香なら62飛成から73角成なので、73金は取れない。
しかし、よくかんがえれば92玉しかないのなら、93歩成、同玉、91飛成、92金、同龍で詰んでいる。
これまた作意ではないようだ。
どこで間違えたのか……。

(93歩)同桂、

93歩、同玉、94歩と拠点を築いたから93歩成が利く。
93歩には同桂が正しい応手だったようだ。(今までの変化は……多分大丈夫だろう)

すると同様に攻めると持駒に桂がない代わりに歩がある次の形になる。

82金、同玉、94桂、92玉が調子よさそうだが……その後が続かない。
最初に考えたのは81飛成。

81飛成、同玉、61飛成、71歩、

これは届かない。
しかし一間龍の攻めなら寧ろ91飛成の方が続くことに気づいた。

91飛成、同玉、61飛成、

81合に92歩、同玉、72龍とできるのがミソだ。
香合なら

   81香、92歩、同玉、72龍、

飛合、桂合も同じ。着ないは同龍で簡単。

さては銀合か。

銀合でも92歩、同玉、83金がある。

どれも駒余りの詰みだ。作意ではあり得ない。
一体何処で間違えたのだろうか?

続きは明日!

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