高木秀次『千早城』に登る(27)


※この連載は風みどりが1題ずつ高木秀次作品集『千早城』(1993)を読んでいくものです。

第27番 詰棋界1953.10改


26番が37手だったから本作も37手以上。駒も盤面一面に広がっていかにも難しそう……と敬遠したくなるが、落ち着いて図面を眺めてみると王手は限られているし、65から76への逃げ道があるだけだからそこさえ押さえておけばなんとかなりそう。

で、少し詰将棋を解き慣れた方なら分かると思うのだが、まずやってみたい手がある。

46金、

なぜといわれても……困る。まず見えてしまう手なのだ。
後から理屈をつけるとしたら38歩の存在だろうか。
36金がでんと動かないとしたらこの歩の意味は二歩禁による余詰消しぐらいしか思いつかない。
46金、同玉、47銀までのための駒に見えてしまうのだ。

65と逃げられても大丈夫かをまず確認しよう。

   65玉、75角成、同と、55飛成、

【変化図】

これなら以下76玉でも75龍と追って銀を打てば簡単に詰む。
したがって2手目の応手は

   同香、

するとまたしてもやってみたい手が見えてくる。
34馬から45銀だ。
34馬は14龍の働きを阻害しているが、ここで消すか、それ以外には53角を捨てた後に42馬ぐらいしか処理するタイミングが思いつかない。
23馬でないのは65玉と逃げられたときに43馬とするためだ。

34馬、同金、44銀、

例によって逃げる変化を先に潰しておこう。

   65玉、75角成、同と、55龍、同玉、
56銀打、64玉、34龍、

【変化図】

金が入手できたので73玉なら83金以下、63玉なら75桂以下。詰む。大丈夫だ。

   同金、

ここまでで作意の手応えを感じる。もう行く一手だ。

65銀、同玉、75角成、同と、64龍、

持駒が無くなったが逃げられても大丈夫か、先に確認しよう。

   76玉、75龍、87玉、81飛成、

【変化図】

81飛成があった。

ということで正解は64龍に同玉で

   同玉、54飛成、73玉、   

あとは長い収束だろう。

83と、同香、同銀成、同玉、82桂成、同玉、
84香、

ここらへんはこうする以外に手がない。

   73玉、83香成、同玉、75桂、93玉、
94歩、82玉、84龍、91玉、

83桂不成、81玉、71桂成、同玉、73龍、81玉、
72銀成、91玉、82成銀まで39手詰。

初手からの金・馬・銀・銀・角・龍の6連続捨駒が狙いだろう。
87桂が収束で三段跳びするのも気持ちが良い。

細かい所で作意と違う部分があったので、下の図面には正しい作意を入力しておいた。

「高木秀次『千早城』に登る(27)」への2件のフィードバック

  1. 千早城を引っ張り出すのが大変なので現物を見ていませんが、これは詰棋界1953年10月号の修正図ですね。詰パラ1954.10にはなさそうですが。

  2. そうでしたか。
    実は今回はパラの方を確認してなかったんです。
    『千早城』の記載をそのまま信じてしまいました。
    いつものことながらありがとうございます。

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