詰将棋つくってみた(205)
課題40:結果発表(3)

つづきです。
もう少しなので、頑張っていこう!

第13問 本間晨一

正解
64飛、45玉、43飛、36玉、58角、27玉、
38角、18玉、14飛、17歩、同飛、同玉、
47飛成、28玉、29歩、19玉、17龍、18金、
同龍、同玉、36角、19玉、18金まで23手詰

★11番と同じ飛角4枚持駒+桂一色図式趣向。
★6筋方面から入玉されたら絶望に見えるので初手は64飛の一手だろう。変化はあるがそれほど難しくはなく45玉と決まる。しかし、この局面、筆者には余詰検討の局面にしか見えない。しかもこの10年は柿木将棋に頼り切っている余詰検討……。正解は龍をつくる43飛なのだが36玉で入玉確定。実は後4手、58角から本局唯一の捨駒(ただし取られない)38角まで進めればあとは容易なのだが、どうも考える気にならないのではなかろうか。
★10手目17桂合ができたら詰まないというのも11番と同じ。本局は香合でも同じという弱点を持つ。

三輪勝昭 一つは妙手が欲しい。
占魚亭 3〜7手目の打ち場所が考え所。

第14問 武田裕貴

正解
44金、同玉、54飛、33玉、53飛成、43金、
55馬、23玉、43龍、同香、22馬、34玉、
35歩、同玉、26金、34玉、64龍、54歩、
35歩、45玉、55馬、同歩、36金、同銀、
34龍まで25手詰

★54金は33玉で切れるので(というか初手から駒取りの手は考えない)初手は44金の一手。同とは53飛成から64馬で詰むだろう(実際詰む)から同玉。となれば次の手は54飛しかない。同玉は32角成から64龍で詰むので、玉は逃げる。55馬は23玉で届きそうもないので53飛成。金合以外は42龍があるので簡単。質駒を確保してから55馬。龍を切って22馬34玉で序奏は終了だ。

★ここから35歩~26金~64龍という順が不足感を伴っていい感じだ。44合は35歩~23馬~36金で詰むし、高い間駒だったら35歩の後に馬を切って簡単。ここで打歩詰に誘致する手筋54歩が登場する。以下の7手は絶対手だが誰もが納得する順。どの駒も打った駒だったり動いた後捨てられるのが素晴らしい。
★結局「中合で出た歩を取らずに馬を捨てて動かす」というテーマがくっきりと浮かび上がる。柳原さんの作品を思い出させる好作だ。

占魚亭 初手の邪魔駒消去を活かした手順。大駒3枚消え、着地も綺麗。
三輪勝昭 13手素材部は中々良い。そこから逆算だと思うがこれはこれで悪くはないが、僕なら短編的な仕上げにするかな。
作者 35歩 同玉 26金以下の手順に冒頭10手序奏を付けました。配置を1筋に寄せると余詰があるので一応風船図式の意義はあるかと思います。

第15問 高木秀夫

正解
41角成、64玉、65金、73玉、74金、82玉、
83歩、91玉、92歩、同玉、93歩、同玉、
94歩、同玉、76角成、85歩、84金、同玉、
85馬上、93玉、94歩、92玉、93銀、83玉、
74馬上、72玉、63馬引、61玉、52馬、71玉、
72歩、同玉、63馬上、83玉、61馬まで35手詰

★角一色図式。飛び石の初形も印象的だ。
★初手は41角成の一手。(と書いたが、作者は45角成も読む。73玉で逃れ。それ以外は総て詰む(!)という)
★53玉は54金~63馬~61角成以下簡単。64玉か72玉だが(73玉は64玉より明らかに2手短い)……72玉と深く落ちて73歩、同玉、74金と1歩使わせるのが正解かと思ったが、よく見ると72玉には54角成がある。これは歩が豊富で金銀あるから詰む。(詰むのは分かっているって?)ともかく2手目は64玉で以下65金、73玉、74金、82玉までは必然のようだ。

★43角を働かせないように逃げていく。次の手は83銀では93玉で打歩詰が避けられないから、83歩……91玉。ここから歩を3連打して76角成は他に手はないが爽快だ。ここからは2枚馬で追う形になる。故平正利さんを懐かしく思う方もいらっしゃるかもしれない。
★一色図式で始まったのに詰上り図に無駄な駒は1枚もない。これは評価を高める要素だろう。

三輪勝昭 初手を指すと意外に変化が少ない。大味を予想したけど実は小味な作品。
占魚亭 金が邪魔駒になる展開が良い。綺麗に纏まっていて、角一色図式の佳作だと思います。

第16問 三輪勝昭

正解
46金、同玉、66飛、56金、55角、同玉、
65金、44玉、45歩、同玉、46歩、同金、
55金打、同飛成、同金、同玉、65飛打、54玉、
63飛成、同成銀、65金、45玉、46飛、同玉、
68角、57飛、58桂、45玉、55金打、同飛成、
同金、同玉、46角、54玉、55飛、64玉、
35飛、55歩、同角、54玉、46桂、65玉、
66歩、56玉、58香、57歩、68桂まで47手詰

★第12番と同じ趣向。この趣向の第1号局は山田修司『夢の華』第1番である。当然、この趣向を創ろうと志せば山田修司作を意識せざるを得ない。第12番では山田修司を超える要素は少ないとみた某一流作家は「それなら最長手数を目指そう」と考えたのだろうか。(本作がこの趣向の最長手数かどうかは未調査です)
★さて12番同様桂まで手掛かりをつけられそうにはないから飛車が鍵となる。五段目では(山田修司作のように)間駒させた後56金捨てから攻めを継続させるが、本作では57飛が存在するのでそれも不可能。結局12番と同様に六段目で飛車を打って手掛かりをつけることになる。さて、では初手は46金か66金か。……これがなかなか判明しない。初めは47歩と67桂の差がヒントかと思い、どちらかでは56飛成と移動合されて不詰なのかと考えたが、同飛、同玉、58飛でどちらでも同じ変化に流れていってしまう。結果的には初手の左右が判明するのは18手目の局面だった。
★46金~66飛でも66金~46飛でも攻め筋は限られているので同じように進行する。間駒は金しか無い。55角と捨てて金2枚と飛車を清算するのはこれしかない手順だろう。その差が次の図。

★お解りだろうか。鍵は43銀と63金の差。つまり次に飛車を切って入手できるのが金か銀かという違いで初手が決定するのだ。すなわち金が入手できる初手46金が正解だということになる。(その後に68角も登場する)
★以下も再生した57飛をもう一度清算したり、35飛でオワかと思いきや55歩合で粘るなど力が入った作品になっている。無解の方も是非並べて鑑賞していただきたい。
★なお迂回手順は2回目の飛車を清算するところ。55金打が作意だが46金~55金でも同じことになる。

三輪勝昭 詰ましてもらえるか心配だけど変化は意外にないと思う。
占魚亭 令和の「日の丸」(その2)。「55金打、同飛成」のリフレインがいい感じ。

総評

negitarou 解けた問題の中では【第4問】が特に良かったです。
三輪勝昭 風船図式はそうなっているってだけで課題の意味はないと思う。
占魚亭 数作難儀した作品がありましたが、全体的にやさしめだったと思います。
hiro 第1問が解けたので解答しました。本企画の一時停止は残念ですが、書籍の執筆と編集が軌道に乗り次第の復活を願っています。
ぎょうざパン 「詰将棋つくってみた」一旦休止ですか。残念ですが、「執筆と編集に専念」との事ですので、新刊の発売、楽しみにしています。
空貴人 作品集の後半は、初形のインパクトが強い作品が多く、作家の方の創作のすごさを実感しました。どうもありがとうございました。
松崎一郎 お疲れさまでした。色々な課題で楽しませていただき有難うございました。新生「詰将棋つくってみた」との再会を心待ちにしております。
まつきち しばらく更新がないということだったので、何とかもう少し解きたかったのですが、なかなか時間が取れなくて申し訳ございません。「風船図式」というのは今ひとつ「課題」向きではないテーマなのかも。なおいくつかの問題は(作者には申し訳ありませんが)、見た瞬間に解く気が起こらない図でした。図面鑑賞用の作品も良いのですが、変化を読むのではなく、筋を追う、パズルを解く、そういう切り口の作品の出題を希望します。
RINTARO 「詰将棋つくってみた」を一旦終了されるとのことで、お疲れ様でした。大変お世話になりました。私自身、どこにも出せない在庫を大量に抱えていてどうしようかと悩んでいた時に、つみき書店さんの企画を知り、初めて投稿したのが2022年9月の課題21:桂香図式でした。以降、毎月出された課題に在庫処分という名の投稿、解答し、楽しませていただきました。ありがとうございました。また開催されることを願っています。今回の課題は前半の8問だけでしたが、Alexanderさんの作品には驚かされました。詰将棋をよく研究されていると思います。楽しみですね。常連のnegitarouさんにも期待しています。

★必ず戻ってきます! しばらくお待ちください。

成績発表

Q1 Q2 Q3 Q4 Q5 Q6 Q7 Q8 Q9 Q10
ぎょうざパン
negitarou
占魚亭
松崎一郎
三輪勝昭
まつきち
RINTARO
hiro
空貴人
Q11 Q12 Q13 Q14 Q15 Q16 point
ぎょうざパン 4
negitarou 4
占魚亭 4
松崎一郎 4
三輪勝昭 1
まつきち 4
RINTARO 4
hiro 1
空貴人 6

6ポイントに到達した空貴人さんには粗品を送ります。

表彰

Judge が決まらなかったので、筆者が決めます。

「風船図式」というのはくっきりしたアピールがある課題ではなく、そのためベテラン作家は追加の条件をたし算したくなります。しかし、それは筆者は余り喜びません。あくまで風船図式の飄々とした味わいで勝負してほしいからです。そういう理由で次のように決めました。

優秀作 第14番 武田裕貴作 風船図式の好作。
佳作 第15番 高木秀夫作 角一色図式の好作。
佳作 第16番 三輪勝昭作 日の丸図式の努力賞。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください