作者不詳 「詰将棋精選」(高濱禎) 第3番 1916
この流れで行けば、この作品も選んでおかざるをえない。
52香、61玉、72角、71玉、81角成、同玉、82香、71玉、
72香、61玉、62香 まで11手詰
普通に香から打ち始めると、端まで追い詰めることができる。
ところが持駒が角。
大駒を持っているのに役に立たない。
切歯扼腕とはこのような時に使う言葉であろう。
では角からかと42角と打ってみると、61玉以下ぴったり詰む!
喜びかけていると、オジサンが怪しい微笑みを浮かべながら……
「では、2手目こっちに逃げてみると、どうする?」
41玉でもう困り果てる。
香は打てないし、歩を成り捨てて香を打っても防衛戦を突破され玉はすたこらさっさと遁走してしまう。
そうか、角を成り捨てるのか。
31角成、同玉、32香
…………41玉でどう考えても香の数が足りない。
一体これ、どうなっているの?
本当に詰むの?
これを言わせたら、作者の勝ちなのだ。
図面も覚えやすいし、本当によくできている。
(16)の3手詰が角を歩のかわりに使う問題だったが,本作は角を香のかわりに使う問題だ。
塩沢邪風に「5枚目の香」というエッセイがある。
ここで紹介しようと目論んだが、見つけることはできなかった。(乞教授)
この図が高濱禎の「詰将棋精選」が初出だという情報は例によって福田稔「名作詰将棋」から。
詰将棋精選には他にも有名な図が収録されているので興味のある方は次の情報にアクセスするとよいだろう。
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