塚田銀波 将棋月報 1926.12
塚田少年と書いて通じるだろうか。
塚田恵梨花ではないのはもちろん、塚田泰明でもない。
塚田正夫実力制第二代名人のことである。
近代将棋誌(休刊中)の「塚田賞」の塚田だ。
その塚田名人が12歳の初入選作だそうである。
同図は空気ラボによると、
- 昭和詰将棋新集(1932)
- 必死と詰(1936)
にも掲載されているようだ。
盤に並べて取り組めば、さほど難しくはなかったはず。
43飛、62玉、73銀、同銀、71銀、
71銀が鋭い捨駒。
同玉ならもちろん73飛成。
72玉なら73飛成と切って、同玉、82銀打、83玉、73金、92玉、91銀成(81銀生)とこれも短編詰将棋風の変化だ。
同金、63金、61玉、51と、同玉、53飛成、41玉、52金、32玉、42龍、23玉、12龍、14玉、23龍、
右辺に追って23龍が手筋の捨駒。
取ると、24金、32玉、43歩成、21玉、22銀成、同玉、33とから歩2枚を叩いて押しつぶす筋。
15玉、25金、16玉、26金、17玉、27金、18玉、17金、
17金とここで捨てるのが好手。
ついつい惰性で28金、19玉、18金、同玉、19歩(次図)
とやってしまいたくなるが、17玉と戻られて駒が不足。
(17金の続き)
同玉、28角、18玉、19歩、29玉、46角、
28角に16玉なら17歩、15玉、37角(24龍)でよい。
次は角をどこに開くか。
これは57角を質駒にする46が正解。
38玉、28龍、47玉、37龍、56玉、57龍、65玉、87角、75玉、64角、
ここで角を切る。
同玉、54龍、75玉、65龍、86玉、76龍、97玉、96龍、88玉、98龍、77玉、69桂、66玉、96龍、55玉、47桂、45玉、57桂、44玉、46龍 まで63手詰
あとは平易な追い手順だ。
最近は煙詰を作ってしまう小学生もいるし、12歳がこの作品を作ったと言っても少しも驚かないかも知れない。しかし、当時と今では情報量が圧倒的に違うことも加味して想像してみよう。
栴檀は二葉より香し!
そして「長編は狙いを持って作りましょう」と返送しなかった将棋月報の担当者も立派な伯楽だ。
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