詰棋書紹介(7) 月下美人

創棋会作品集 月下美人 創棋会編 将棋天国社1994.4.25

創棋会の第5作品集。
グループ作品集がお買い得であることや、創棋会についてはもう書いたので、すぐに作者一覧にいこう。

創棋会らしい、豪華な作家陣だ。

ただこの作品集は、今までのグループ作品集とはかなり違った特殊な構成になっている。

目次を見ていただこう。

いままでのそれぞれの作家が自作から4ないしは5作を選んで並べるというスタイルではなく、〇〇図式という章立てになっている。
つまり初形条件縛りがかかっているのだ。

こんなことが可能なのは創棋会をおいてないだろう。

具体的には次の初形条件を満たした作品が集められている。

    簡素図式
    桂香図式
    貧乏図式
    4×4図式
    小駒図式
    飛角図式
    無防備図式
    無仕掛図式
    一色図式
    七色図式
    その他図式

初形条件が好きな方には必携の作品集になったと言えるだろう。
筆者は伝統的な形式の方が好きだが……。
まぁ,それは筆者が条件作にあまり興味がないからなのだが。

「月下美人」もう一つ特徴がある。
創棋会は「あさぎり」から「撫子」まで7冊のグループ作品集を発行しているが、この「月下美人」がもっとも楽しそうなのだ。

伝統あるコミュニティーとしての矜持か緊張か、創棋会作品集はどなたの文章も真面目で堅い印象がある。
ところが、この「月下美人」だけは何故か羽目を外している感じなのだ。

例えば巻末の作家プロフィール。
どなたも今見ると若い。26年前の写真だから、それはそうなんだけど……水上さんの写真、いくらなんでも若すぎる。
当時でも40歳のはずだ。

大橋さんも「好きなカラオケ曲」に40曲も書いてきたとあるし。

次は第23番上田吉一の解説。

一体、どこが解説やねん。

というわけで、紹介する2作は決定した。

上田吉一 月下美人 桂香図式第23番 近代将棋1984.2

「極光21」第23番にも収録されている作品。
こちらではさすがにもう少し詳しく解説してくれている。
引用しよう。

この作品は本集唯一の実戦形詰将棋で、手順も実戦的だと言えよう。塚田賞(中篇)。

大橋健司 月下美人 貧乏図式第14番 詰パラ1988.2

この旨酒を味わわずして収束のキズについて囀るなかれ。
変長についてはいずれ書く機会もあるでしょう。


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