詰棋書紹介(8) 北斗


北斗 著者:川崎弘 将棋天国社1986.10.10

言葉というものは生き物だ。
筆者もいろいろ試みているが、未だ詰将棋界に定着した用語は一つもない。
巨椋鴻之介の「フォルム」や「フィギュール」も定着する様子はない。

川崎弘はこう書いている。

「不利感」の概念と用語を詰棋に導入したのは私。

昔、絶連という用語があった。
絶対手の連続を略した言葉だ。
しかし、詰むことが保証されている詰将棋の手は本質的に絶連なのだ。
ではなにが解者の心を揺さぶるのか。
不利感とはうまい言葉を造ったものだ。

その不利感を意識した作者の作品80局が収められている。

そして特徴的なのは頁の2/3は論文で占められていることだ。

筆者も「移動合駒の研究」は妻木先輩から青焼きでもらって読んだが、有名な「詰手筋の理論と実際」はなかなか入手できず、この「北斗」で初めて読むことができた。

収録されている主な論文を挙げよう。

    傑作とは何か
    香歩新型の研究
    形の理論
    余詰の消し方
    移動合駒の研究
    合駒の理論と実際
    規約論議の原点
    置駒の減らし方
    詰手筋の理論と実際

それでは、短編1局と中編1局を紹介する。

有名な作品はあえて外している。

川崎弘 北斗 第32番 詰パラ1961.3

最終3手は見えるのに、けっこう考えたのでは?

川崎弘 北斗 第58番 詰パラ1970.2

桂生から馬の移動中合。
これ半世紀も前の作品なのだ。


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