詰将棋創作講座を読む(3) 村山隆治「詰将棋教室」

同じ村山隆治先生の「詰将棋教室」を取り上げる。
「詰将棋の考え方」が1950年。
「詰将棋教室」は1966年。金園社。
この本には私もお世話になった。
私が持っているのは1978年の22版。

昔の出版社は(この本は売れたんだろうけど)一つの本を長い間重版して売り続けてくれるのが当然ながら良かった。

今の出版社の方針は初版だけ売ってすぐ絶版に見受けられる。この悪しき流れはあの見城徹の幻冬舎から始まったと認識している。でもコロナみたいに感染が広まった。それなりの下地と理由が存在するのだろうが、そんな出版社はすべて幻冬舎と一緒に潰れてしまえと呪いをかけておこう。

しまった。
閑話休題。

16年経って、どのように指導が変わっているのかそれともいないのか。

ちょっと長いが引用しよう。

詰将棋の創作とは、駒という特殊な形態を、盤上という特殊な平面に並べて作図することをいう。そして前記基本手筋がその基本をなしています。基本手筋の具体的内容については、「詰将棋手筋の分析」を参照のこと。
作図はこれらの基本手筋を用い、しかも作品としての必要条件を満足させる詰将棋を、完成させる行為です。
作図する場合に、一つ以上の好手、妙手をおりこむことは、絶対条件ですが、これには鋭敏な作図感覚を必要とします。この作図感覚の育成には、多くの作図と鑑賞とで、潜在意識界に、「詰筋」を常に培養させておく心掛けが肝心です。

前著より、観念的な話になった。
はじめの詰将棋創作の定義は、「詰将棋の創作とは」「作図すること」、「作図は」「詰将棋を完成させること」という構造で、定義になっていない。まぁ、定義なんてどうでも良い。
必要なのは

  • 多くの作図経験
  • 多くの作品鑑賞

これが言いたいことであろう。

続いて作図法について次の3種類をあげている。

  1. 解析法
  2. 吟味法
  3. 相似法(モンタージュ法)

前著の実戦形作図法と技巧型作図法より1つ増えた。

解析法

簡単に詰む局面を予想し、それを出発点として、「詰む局面」と「詰まない局面」を交互に作り、駒の「加除変更法」と、形の「平行移動法」を施し、順次に発展させて行く方法。
つまり構想によって作図する仕方です。

これは恐らく前著の実戦形作図法を改名したのでしょうね。

吟味法

実戦の終盤より取材し、作図が可能であるための条件を吟味し、それに手筋を加味して順次に発展させて行く方法。この場合は、取材された終盤がそのまますでに完成図に近いということが大きな条件ですから、そう容易にできるものではありません。

あれ?こちらが実戦形作図法なのだろうか。
いや、これは恐らく実戦取材でいい筋を見つけたら、そのままでは当然余詰や変長があるだろうから、それらを修正して完成させるということだろう。

相似法(モンタージュ法)

テーマ(命題)を他より求め、その一部の駒を置換してさらに手筋を追加し、原形と全然異なった形の図式を作図する法。これには相当な経験と作図技術が必要であって、一般にはすすめられません。

これは前著の技巧型作図法を改名したものだろうか。
(つづく)

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