この表紙は詰将棋ならぬ積将棋。
大橋健司による全駒使用作品だ。
「糊でつけたんですか?」
「いい駒だからそんな勿体ないことはできない」
「合成写真ですか?」
「いや、ちゃんとつくった」
真相は如何に!
さて、その表紙にあるように気鋭の會場健大さんによる責任編集。
第1部 特集 詰将棋新世紀
序言 會場健大
対談 山田修司×石本仰
この詰将棋が好み! 深和敬斗
この詰将棋作家がすごい! 久保紀貴・宮原航
長篇趣向作はどこへ向かうのか 井上徹也×馬屋原剛×吉田京平
この記録作がすごい! 馬屋原剛
田島秀男「乱」詳解 廣瀬崇幹
煙詰創作方法についての考察 安武翔太
透明駒の現在と可能性 會場健大
第2部 研究論考
近代将棋を振り返る(平成篇) 高坂研
詰将棋基礎論(1) 若島正
若手(といってもいいよね)有力作家が贅沢に登場していて、まさに読みたいテキストが満載だ。
會場さんの企画力・交渉力・実行力がフルに発揮された夢のようなラインナップだ。
テープ起こしもリライトもこの分量だからさぞかし大変だっただろう。
詰将棋年鑑としての「この詰将棋がすごい!」がなくなってしまったのは残念だ。
3年あいたことと執筆者集めに苦しんだのだろうか。
いや恐らく會場さんをはじめ目次に登場するようなメンバーはそういうダイジェスト版の必要性が理解できないんだろうな。オイラも若いときはそうだった。だって全部覚えていたから。
若島さん自身が2010年版に
以前から、詰将棋について批評的に語った本、つまり『詰将棋評論』とでも言えそうな本を出せないかと考えていた。
と書いてあるから、もともと目指していた編集方針なのかもしれないが。
さて、この本はつみき書店で購入可能。
まいどありがとうございます(^^)。
さて1作紹介するのは、冒頭の対談に登場する石本仰の作品。
せっかくの改良図なのに持駒が誤植!(桂馬が5枚あるし5手で詰んでしまうからすぐ気づく)
石本仰 近代将棋 2007.5
【ネタバレ注意!】
なぜ91歩を取らないかとか、途中の手順は何の意味があるのかとか、収束ですべて明らかになるので、並べるだけでも愉しめる傑作だ!