川崎弘 『北斗』第57番 詰パラ1955.4
33手詰。
こう聞くとはじめてこの連載を読む方だったら「難しそう、とても無理」と怖じ気づくに違いない。
しかし、この連載をはじめから通読してきた方なら、「あれ?手は限られているし、いかにもな59角・48香の仕掛。これは案外易しいかも。」となっているかもしれない。
ヒトというのはいつの間にか急激に成長してしまうものなのだ。
金を動かしていくしかない。
24玉と行かれては13に潜られてはやっかいそうなので、36金は妥当な手。
27金、25玉、36金、
同玉なら54馬~55馬で簡単。
15玉か、16玉か。
15なら48香を動かす?
16なら34香を動かす?
持駒に歩があるし、15から考えよう。
15玉、16歩、同玉、32香成、
歩を叩いて、34香をどこに動かすか。
31香成なら妙手だが……。
33では狭そうなので、32香成は自然な手だろう。
15玉、
さて、打歩詰の局面になった。
どう打開するのか。
59角・48香の仕掛からピンとくるものがある。
42馬、16玉、52馬、15玉、
馬鋸で一路遠くに移動した。8手目の局面と比較すればこれで例の手が出せることに気づく。
43香成、
馬筋を自ら遮断する手だ。
これで16歩が打てるようになる。
(でも打てたから……どうなる?)
59香成、16歩、同玉、44成香、15玉、42馬、16玉、43馬、15玉、26龍、
44成香と再び馬筋を通し、再び馬鋸で近づいていく。
34まで近づけるがそれでは打歩が打開できなくなる。
初形と同じ43馬でとどめておくのが吉だ。
結局、打歩詰の打開は24に効いていた龍を捨てることでなされる。
同香、16歩、24玉、33馬、13玉、22馬、24玉、34成香、同玉、33馬 まで33手詰
栗原寿郎の11飛~21角成を52馬~43香成に、遠打を馬鋸に替えた表現であることが分かる。
上の解説は大多数の人の辿る解図ルートだと思っているが、龍捨てで打歩を打開するのだったら、馬鋸周辺の手順は何のためだったのだろう。
8手目15玉の局面から26龍としてみればわかる。
22馬、24玉で手が切れるのだ。
一連の手順は44成香を作るためにある。
すると次のようなナラティブが読み取れる。
48香を開き王手で44に成りたいが、44に成ることは出来ない。そこで打歩詰を利用して48香を44成香とすることができた。
なんと栗原寿郎の「98角を54で成る」と同じ物語だったのだ。
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