高木秀次『千早城』に登る(10)


※この連載は風みどりが1題ずつ高木秀次作品集『千早城』(1993)を読んでいくものです。

第10番  不明


 馬と香の守備が強い。まぁ持駒も強力だが……。
15角は48,59を押さえているが95龍はどう働かせるのだろう。
どこかで96龍として合駒がでる展開か?
97金と88金の重複感も強い。どちらかもしくは両方を捨てる展開になるのだろうか。
持駒に2歩もあるけれど、打歩詰がでてくるのかな。

 まずは58歩。変化っぽい方から潰そう。
68玉なら69歩。79玉なら68銀、88玉、98金、89玉、79金まで。
99歩の謎の配置の意味もわかった。
 69歩に同玉でも78銀、79玉、69金、88玉、98金……
やはり58歩には同馬だ。とすれば次は66銀、同玉だろう。
68玉の変化は74香が利いてくるから面倒かな。
69歩、同玉、58銀と角を取れなばよさそうだ。
69歩に79玉でも89金打、69玉、58銀で角が手に入る。
同玉に67角で49には逃がさない。あと銀がのこっているから詰む。
 で、66同玉。

 この局面に至れば、本能で48角だろう。
合駒は65金、76玉、77銀。あ飛合か?
57飛合でも65金、76玉、96龍、86合、87金、同飛成、同金までだ。
で48同馬。

 これで67金が担保できた。67金では75玉と逃げられる。
ここは75銀と逃げ道から捨てるのが筋だ。
同玉の一手に65金、76玉、96龍、86合、87金まで。

……歩が余って詰んでしまった。
これは余詰だ。

おかしい。途中まで作意っぽかったのに。

しばらく考えて96龍のところで86金という手に気づいた。
同香、66金、同馬、77歩、同馬、65龍。

これが作意に違いない。
それにしても96龍を見落とすかな。

で、正解を見てみたら、上の順も余詰だった。

作意は7手目57銀!

成程あくまで馬に絡める攻め。これは好手だ。
でも目的は75銀と同じで65金と打つためだから……やはり96龍を見落としているということか。

巨匠でも、こういうこともあるということだ。
いやいや、これは流石に無い。

となると想像だが、84が金である必要は見当たらない(75には香が利いている)ので、これが桂馬なのだと思う。
たぶん図面の誤記だ。


前回の流れから補正図を作ろうと考えてみたが57銀と75銀では75銀の方が自然なので案外難しい。
83桂などで75銀を消すぐらいしか思いつかない。
美しくないが。

さらに柿木将棋で検討してみると、初手から66銀として67歩や77銀という余詰もある。
これを消すのに時間がかかった。
でやっと出来たと思ったら、まだ3手目同銀の余詰があった。

ということでとりあえずの補正案。2枚も駒が増えてしまった。

巧い補正図できたらご教授ください。

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