伊藤看寿 『将棋図巧』第55番 1755.3
第46番,第50番と同じ系列の発想。
守備駒に鮮やかな演技をさせるシリーズだ。
持駒豊富だが,初手は龍で馬を取るしかない。
57龍、同銀不成、
同玉は39角で簡単。同銀成も77金,同桂成,66金まで。
次は68から捨てたいが,金か銀か。
後でまとめて考えることもできるが,斜めからは打てない形なので打ち捨ては玉の前後左右からすることになる。
左右と後ろから王手できるのは金だけだから,前から打つのは銀が妥当だろう。
68銀、同銀不成、
これも同銀生。成ると57金,76玉,65角,75玉,74金まで。
77金、同銀不成、
これも銀生でとらなければ,66金から39角がある。
66金、同銀成、
これでやっと銀成となる。
68の守備がなくなったので,生でとると68銀,76玉,65角と打たれてしまうから。
さて,これで初形の66銀が成銀に変わった。
57金、同成銀、
57龍ではなく今度は57金なので76玉の変化がちと長くなる。
76玉ならば66馬、87玉、88銀、96玉、87銀打、同成香、同銀、同玉、76角、96玉、87金、95玉、96香まで23手詰
68銀、同成銀、
さて銀が玉の周りを連続で1周半。
ここからは収束である。
57金、
同玉は93角で簡単。
76玉、65角、75玉、66金、84玉、73馬、93玉、92角成、同玉、82馬 まで23手詰
初手からいきなり主題にはじまる演出。
収束は最短で大駒1枚を消して終了。
【あとがき】
詰パラ読者はご存知のようにこの作品11月号で小林敏樹さんの記事で取り上げられている。
どうか「これパラで読んだバッカシ」というコメントは控えていただきたい。
もう充分にダメージを受けているので。
しかも当然のことながら「雑談」の方で取り上げる図もかぶるよなぁ……。
というわけで,この作品に関する「雑談」(数日後にupされます)はパラ読者は読まんといてください。