詰棋書紹介(70) とくつめ


徳島新聞詰将棋好作選 とくつめ 吉岡真紀、岡本眞一郎編 全日本詰将棋連盟 2013.7.14

徳島新聞は徳島県で圧倒的に支持されている新聞だそうですが、長年アマチュア作家の詰将棋作品を掲載しています。
前書きによると第1回は昭和38年1月というからすごいですね。

作品のとりまとめは現在は詰パラ編集や詰パラホームページの管理をしている須藤大輔氏だそうです。

(投稿したいという方は連絡してみてください。詰パラホームページにメールアドレスが公開されています。)

詰パラの常連作家が、新聞向けに右上に小さく纏まった、易しく、短手数の作品を発表しています。

だったら詰パラを読んだ方がいいだろうって?
それが違うんです。
読んでみれば解りますが、上手い人が肩の力を抜いて創った作品の中には捨てがたい宝石がいっぱいあるんです。
(正直、力を入れて創った作品よりこっちの方が好きという場合も!)

11手詰の易しいのを3局、一気に紹介してしまいましょう。

楠原崇司 『とくつめ』第15番 徳島新聞 2002.2.27

凄く易しいですが、狙いはくっきり伝わってきますね。
持駒全部と10手をかけて、邪魔駒の42とを原型消去!

岡田敏 『とくつめ』第41番 徳島新聞 1994.5.2

誰もが一度は作る(?)32飛不成の筋。
大ベテランのこのような仕上げは新鮮では?

近藤真一 『とくつめ』第43番 徳島新聞 1994.11.7

わずか11手で、しかもこんなにも簡単に、飛香の不利交換を表現しています。

どうですか?
観賞用ではなく、解いて楽しむ作品集として欲しくなってきたのではないでしょうか。

でも、わりと最近の本なのに(詰棋書は数10年も売れ残る……)全詰連書籍部で販売していないですね。
やはり人気あったのかな。

さらに、つみき書店としてはこの本に「やられた……」と思うことが二つあります。

一つは装丁です。
それまでの詰棋書は野口文庫からの伝統か地味な物が多いです。角ブックスも基本文字だけですよね。
それが本書はカバーが付いて、そして上の書影とは別ヴァージョンのデザインも作ったのです。
当時はオイラもまだ若かった(?)ので、そちらは恥ずかしくて買えませんでしたが、両方買っておけば良かったと今、後悔しています。

もう一つは判型です。
つみき書店の既刊2冊はなるべく安く、かつたくさんの作品を詰め込みたいのでA5版で作っていますが、今後もっと少ない作品数の本は小さく・軽く作ろうと考えています。
最近マイナビでは文庫本を出していますが、文庫本では持って読む分には問題ありませんが、鞄に入れると厚さが邪魔になると思います。かつ郵送が前提の弊社では2cmを超すとスマートレターが使えませんので送料が高くなってしまいます。
そこで新書版はどうかと構想中でした。
1頁に2局、縦に収めて200局でも200頁強ですむ。
これなら厚さ2cmは余裕綽々。
持ち歩くにもスマートでいいなと。
名付けてつみき書店詰将棋新書。
あ、でも『とくつめ』があったと思い出しました。

でも、つみき書店が真似しても別に問題はないですよね。

「詰棋書紹介(70) とくつめ」への3件のフィードバック

  1. 「とくつめ」は多めに1000部刷ったのですが、かなり好評を頂きました。
    最盛期は将棋連盟にも卸したりして、もう完売しています。
    表紙デザインですが、入稿の時にKCプリントへ行って、「詰将棋教室」など数冊の見本を見せて「こんなイメージにして下さい」とその場で作成しました。
    一般書店に並べても遜色ないような出来栄えになったと自負しております。

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