柏川悦夫 『駒と人生』第51番 王将 1954.8
こうやって柏川作品を紹介していると、改めて偉大な先駆者だと理解できる。
ただそれでも、その時代の他の作品を知らないので頭の上の方の表面だけの理解だ。
おそらく「もう当たり前になってしまって誰も柏川悦夫の功績だと理解できないもの」にもっとも大きな功績があるのだろう。
22歩成と攻めると打歩詰になる。
序は平凡な駒交換から入る。
これはもちろん21桂という自然な配置を初形に用意したいが為だ。
13歩、同桂、同銀成、同玉、25桂、12玉、
さて24桂と打ちたいが、それでは15馬の活用ができなくなってしまう。
13歩、11玉、33馬、同桂、12歩成、同玉、
13歩と打って、また12歩成と戻すのが詰将棋らしい手の流れ。
これで33桂を質駒とすることが出来た。
24桂、11玉、22歩成、同玉、34桂、11玉、
待望の24桂を打ち、さらに34桂と包囲網を狭めていく。
21銀成、同玉、33桂不成、11玉、23桂 まで23手詰
狙いはもちろんこの終形図だ。
桂馬の吊るし詰は人気が高く、四桂詰はさらに人気がある。
それならば究極の四桂詰を創ってやろうという発想だろう。
さらにシリーズ創作で「純四銀詰」「純四金詰」「純四香詰」も発表している。
なお本作の解説には「四桂詰」との記載があるが、出題ページにはないので作品のタイトルではないと判断した。(ヒントになるから書いていないだけかもしれないが……)
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「もう当たり前になってしまって誰も柏川悦夫の功績だと理解できないもの」そうかもしれない、きっとそうなんだろう、と思うんですが、それは何なんだろう、と考えると分からず。ヒントを下さい(笑)。
それをズバッと言語化できたら立派な批評家になれるでしょうか?