黒川一郎 「朧」『将棋浪曼集』第37番 近代将棋1955.9改
タイトルの「朧」は「おぼろ」と読む。
序はここから手をつけるものだろう。
33と、14玉、24銀成、同玉、
わずか4手で序は終わり。
第1趣向の始まりだ。
飛車とと金のエレベータで上段に追い上げる。
34と、25玉、35と、26玉、36と、27玉、
26と、同玉、27歩、同玉、
ここからがメインの第2趣向。
4拍子4小節の捨て追い趣向だ。
38金、26玉、18桂、同馬、
37金、25玉、17桂、同馬、
36金、24玉、16桂、同馬、
35金、23玉、15桂、同馬、
解く立場からはここまでは簡単。
作る立場からはここからが難しい。
趣向の仕掛に大駒3枚を使っている。
これらをどう片付けるか。
桂馬が4枚とも使い果たしているのがけっこうな制約だ。
34飛成、12玉、11と、13玉、14香、同馬、
11とに同玉は13香、22玉、31馬まで。
1枚の飛車を見切り、次に馬を入手する方針で進める。
12と、同玉、14龍、22玉、
手広い形で不安になるが、75馬の利きを頼りに攻めて良い。
31角、32玉、12龍、43玉、42龍、
これで龍も清算。趣向の後片付けは終了と考えて良いだろう。
同香、同角成、54玉、55香、同玉、
66銀、同と、
龍と替えた香を55に打捨てて……あれ、この終局図は!
64銀、54玉、53馬、同成銀、同銀成、55玉、
64銀 まで59手詰
と、エントリーのタイトルで既にネタバレな所を驚いて見せた。
しかし、初心の頃にこの作品を並べてみたときは本当に驚いたものだ。
終形も普通は「ダイヤモンド型」と言う所を「朧」とする辺り、流石は黒川一郎だ。
『将棋浪曼集』に黒川一郎の詩が載っている。
Tweetおぼろ月
泣いているのか
朧月
雲の袂を
目にあてて風が払えば
いじらしや
泣いて腫らした
目のうるみほろり涙が
落ちそうで
かげが揺れます
おぼろ月