詰将棋入門(117) 角銀二段中合

森田正司『春霞』第31番 将棋世界1957.10

例によってネタバレのタイトル、ご寛恕の程よろしくお願い申し上げます。

さて、今回は画像が多めなのでサクサク行こう。
初手35馬と迫りたいところだが……

35馬、16玉、

これは持駒香歩では27からどんどん逃げられて無理そうだ。
このような局面でで持駒に香があったらまずはこう攻めて応手を問うのが定跡だろう。

29香、

14玉は1手詰。16玉は27が塞がっているので17歩、同玉、35馬……。
26に間駒しても……。

26香、

これは壁に押しつぶせる。

35馬、16玉、26馬まで

そこで27への中合を考えることになる。
歩合は二歩で効かない香合から考えよう。

27香、

これは35馬で簡単だ。

35馬、16玉、18飛まで

36飛でもよい。
桂馬も同じだ。
説明を簡略にするために順番が前後するが先に金合を考える。

27金、

持駒に歩があることを思い出せば、これも簡単。

35馬、16玉、17歩、同金、26馬まで

ということは27飛合も17歩が打てる。

27飛、37馬、16玉、17歩、同飛成、

以下は同馬、同玉、18飛打でも36飛と勢力を追加しても良い。
これで27への間駒は残り2種類に絞られた。

27銀、

銀と角だ。
そのココロは打歩詰。

35馬、16玉、

17歩が打てない。
しかし、飛車の活用が残っている。

18飛、

これで解決だ。

同銀成、26馬まで

もう一つ残っている候補、角でも同様。

……18飛、同角成、26馬まで

さてこれで初手29香に対する防手は

  • 18飛まわりを妨げる28中合
  • 27に銀か角の中合

だとわかってきた。

28☗、同香、27銀、35馬、16玉、

実際には金を裏返して28の間駒に使って考えたりする。
さて、この☗は何だろう。
桂馬は八段目には使えないので、大抵の駒は17に打って詰んでしまう。

28角、

角だとわかる。
角以外だったら17☗で一手詰だ。
これで角が売切れたので27の間駒も確定する。

同香、27銀、

これで角銀の連続中合が実現した。
さてあとは収束だが……。

35馬、16玉、

この局面まできたらあとは7手詰。

36飛、

38飛を活用するしか手はない。

同銀成、27角、

続いて28で入手した角を惜しげもなく捨てる。

同成銀、17歩、同成銀、26馬まで13手詰

36飛・27角と捨てることで27銀を27成銀にしているわけだ。
所謂成らせ手筋である。

「湯村光造作の金飛二段中合をみて、角銀二段中合に挑戦した」と『春霞』には書いてある。
狙って作って、このような見事な好形好手順の作品が生み出されるのだから凄い。

無駄な手がなく玉方の好防手が済んだら次は攻方の好手段。濃縮されている。
古今ベスト13手詰の一つに選ばれる名作と思う。

なお、45歩は3手目35馬とする余詰を防いだもの。

「詰将棋入門(117) 角銀二段中合」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください