詰将棋入門(134) 焦点捨を5回

巨椋鴻之介 詰パラ1972.11

焦点への捨駒の3手詰。本作はそこからスタートしたと思われる。

左から攻めても桂馬の守りが強くて成果は得られそうにない。
右の金銀の厚みで攻めていくのがよかろう。

66金、同玉、56飛、

56への利きは攻方が圧倒している。
どうせ同銀と取られないのなら一番強い飛車から出ていく。

   75玉、65と、

同銀成ならば同金、76玉、85銀、75玉、65と、同桂、
ここで76銀という洒落た手が出る。
同玉に85馬までの詰み。

そこで最初の焦点への捨駒(駒取りだが…)65と。
同飛も同桂も1手詰。気持ちよい。

   同玉、55金寄、75玉、87桂、同桂成、65金、

桂を入手したので、次は95桂を剥がす。
2度目は65金。気持ちよい。
なお55金寄は自然な手だが、55金上では詰まないように出来ている。

   同玉、87馬上、75玉、65馬、

55金上では87馬に76歩と間駒される。
作意は55金寄なので76歩合だったら
55飛、66玉、56金、同銀、同飛、75玉、66銀、同飛、74馬で詰み。

そこで躱す75玉に
3度目は65馬。気持ちよい。

   同玉、55金、75玉、87桂、同金、65金、

最後は77金を入手する。
4度目は65金。気持ちよい。

   同玉、87馬、75玉、65馬、

いよいよ満を持して5度目の65馬。
もう最高に気持ちが良い。

   同飛、74金 まで27手詰

今まで全部同玉だったのだから最後も同玉が作意なのではとパラに当ってみたが、最後だけは同飛だった。

察するに同玉では66金までなので、86歩と47銀が働いていない。
特に47銀は87馬に対して56玉と飛車を取られないための配置だ。
この銀の働きの弱さが際立ってしまう。
『禁じられた遊び』に本作が収録されなかったのも、この銀の配置が気に入らなかったためではないかと妄想する。

でも、埋もれさせてしまうには惜しい作品と思うのだがねぇ。

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