詰将棋入門(139) 「雲」

巨椋鴻之介「雲」『禁じられた遊び』第51番 詰パラ 1973.8

序が変化が多く難解。
抜け出すと美しい趣向手順が出現する。

29香と62飛で区切られた3筋~5筋が趣向の舞台ということは分かる。
86龍を参加させるために88馬を捨てなければいけないことも分かる。

77馬、同香成、89龍、58玉、
68金、47玉、57金、同金、

しかし、77馬に逃げる変化も多岐にわたり難しい。
68金もやりにくい手だ。同成香の変化もあり難しい。

58銀、同玉、69龍、47玉、
58銀、同金、65馬、48玉、

あくまで58銀、同金としてから65馬が正解なのだが、先に65馬としてみたい気持ちもある。
紛れ込んだらなかなか大変だ。

49歩、同金、47馬、同玉、49龍、48金、

作者の言によると、序の主要駒を捨てたときが、メインテーマの現れる合図なのだそうだ。
ここから8拍子4小節の美しい趣向が始まる。

57金、36玉、45銀、35玉、
46金、同玉、48龍、47金、

56金、35玉、44銀、34玉、
45金、同玉、47龍、46金、

55金、34玉、43銀不成、33玉、
44金、同玉、46龍、45金、

54金、33玉、42飛成、同銀、
同銀不成、同玉、45龍、31玉、

23香成と行きたい所で42飛成とは良くも入ったものだ。

42龍、同玉、43銀、31玉、
42金、21玉、32銀不成、同金、

さらに42龍のただ捨て!
作者はこれが「まだ早すぎる」と収束に不満があるという。

同金、同玉、23香成、41玉、
42歩、51玉、52歩、同玉、

大駒が全て消え去り、趣向の跡形も残さない。
考古学者がこの終局図をいくら調べてもここで何が起こったか想像することもできないだろう。
理想的な仕上がりだ。

53金打、51玉、41歩成、同玉、32成香、同玉、
43金上、31玉、42金 まで79手詰

さて、この趣向、大塚播州氏はどのように分類しているのかと『漫陀楽』をあちこち探したのだが見つからなかった。(きっとすぐにコメントが付くだろう)

筆者の分類では、このような駒の一団がそのまま盤上を移動する趣向はグライダー趣向と呼んでいる。(筆者と同世代の方ならこの命名の由来がわかるだろう(同世代でなくてもわかったらコメントを))
非常に稀少な趣向である。



やはり、遊びましたよね。Life-game。

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