三代伊藤宗看『将棋無双』第13番 1734.8
『無双』の中では極端に易しい作品。自力で解くチャンス到来。
61馬・13飛・49馬が要の攻め駒だ。
13飛を働かせるためには73香を捌く必要がある。
82銀、同歩、81金、同玉、
72香成、91玉、82成香、同玉、
初手82金では同歩で王手がなくなる。銀から捨てるのは常識的な攻めだろう。
72香成で13飛の横利きが通る。
93歩成、同歩、83飛不成、
飛車生1回目。
9手目に83飛では91玉で困る。
92歩を作る93歩成が大切な事前準備だ。(マイクロ伏線と呼ぼう)
91玉、92歩、同玉、93飛不成、
飛車生2回目。
この2回は成ると直後に打歩詰に陥るので分かりやすい。
81玉、82歩、同玉、
83馬、71玉、91飛不成、
とはいえ捨駒で表現しているのが気持ちの良い所。
同玉だと遠くから94馬上ときて、簡単に詰む。
81歩、72歩、61玉、81飛不成、
91飛不成と間駒を稼いで置くのもポイント。
52玉、51飛不成、
飛車がなぜまだ成らないかはまだわからない。
43玉、65馬、同銀、53飛不成、
43玉でなく63玉なら85馬まで。49馬が変化で活躍している。本当の出番は終盤だ。
序盤の要の駒であった馬をごく自然に捨てているのが美しい。
同銀でなく34玉なら31飛成~21龍でよい。
34玉、33飛不成、
そろそろ二つ目の仕掛が見えてきた。
25玉、16馬、14玉、15歩、
5回の飛生はこの15歩を打つためだった。
24玉、25馬、同玉、35飛成まで41手詰
もう1枚の馬も自然に消してスッキリした詰上り。
宗看の作品は変化が難しいのだが、本作は嘘みたいに変化も易しい。
49馬の配置がピッタリしすぎて難しい変化を入れる必要がなかったのかもしれない。