つみき組曲

Writer:自在 流

 藤井聡太さんの出現で、将棋界にまた注目が集まっています。10代で現在四冠とは、この先もどんどん記録を伸ばしそうな勢いです。
 デビューから破竹の29連勝で、あの当時は、駒を並べて「29」と書いた将棋盤を持った写真が、メディアを賑わせました。

 氏は詰将棋創作も達者だと聞いています。私にゃ無理ですが「神の一手」には、詰将棋作家側も「神の詰物」で対抗すべく、例えば「29」の形で駒を並べた初形から29手で詰む詰将棋とか、初形が「ソ」途中で「ウ」詰上がり「タ」の立体曲詰29手、なんてご祝儀作品で発表したら、棋界の盛り上がりに花を添えますかね?
 まあ現実路線だと、仲間が結婚祝等に贈る形式で、「ソ」「ウ」「タ」の詰将棋を、作家3人で一局ずつ作って、足して29手にするぐらいかな。それでも私のような素人には、感心の極みですけど…。

 さてさて、作家さんの苦労をよそに駄弁を弄しましたが、古い記憶をたどれば、詰将棋で最初に驚いた経験は、おそらく形が面白くて分かりやすい、「曲詰」の類だったと思います。

 小学生の頃、近所の書店で「名作詰将棋」なる本を買いました。

 問題の多くは、当時の私には到底、手に追えるシロモノではなかったけど、有名な煙詰はもちろん、四桂と死刑をかけた作品、飛車が成ったら詰まない作品、攻駒1枚で詰ませる作品など、印象深いものがコンパクトにまとまっていました。

 問題が解けずとも、この経験は、「久留島喜内」「渡瀬荘次郎」「待宵」などの単語が頭に残って、その後の時代に訪れるネット検索の際に、未来の自分へのプレゼントとなります。

 話を戻しますが、この本の中で印象に残ったのが、立体曲詰の「二上」と「NHK」でした。よくこんなの作れるなあと感心。

 ただ、ここにはなかったけど、当時で一番好きだった曲詰作品は、将棋マンガ「5五の龍」で紹介されていた、詰上がりが将棋駒の形になるものです。別の書物で、添田宗太夫の秘曲集の73番と知りますが、ダジャレのような遊び心あふれる仕掛けが、子どもの私に丁度よかったのかもしれません。。。

 どんな優れた作品も、最初は妄想に近いものから生まれるのでしょうが、方々の調整に苦労してやっとの思いで完成し、無事に世に生み出した暁には、作家として喜びもひとしおなんでしょうね。

添田宗太夫『象戯秘局集』第73番 1752

「二上」はこちらで鑑賞できます。⇒詰将棋入門(106)ワード立体曲詰
「NHK」はこちらで鑑賞できます。⇒詰将棋美術館 アートNo.68 via.詰将棋おもちゃ箱

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