前回はいまや定番となった創作支援ツールである柿木将棋をインストールするところまでだったので、今回はその基本的な使い方を説明する。
柿木将棋を立ち上げると次のような画面になる。
^E(CtrlキーとEを同時に押す)で局面編集画面になる。
【局面編集】→【局面編集の開始】でもよい。
【局面編集】→【詰将棋用配置】で作った詰将棋の配置をつくる。
最近はいきなりPCの画面で創作する方も多いようだが、オイラは盤駒をださないと無理だ。
今回は飛車を捨てる3手詰を作った。
《玉を移動させる捨駒》11飛で同玉とさせ、12金までの詰上りを狙っている。
先に作意手順を登録してみる方法もあるが、今回は柿木将棋に解かせてみよう。
^Wもしくは【詰】をクリックする。
すると一瞬で解いてくれる。
あれ?
「3手で詰みました(▲4一飛)」
これはどういうことだろう。
Shift+→または【▹▹】で棋譜を連続再現してみる。
41飛、31合駒、12金で詰んでしまったようだ。
こんな簡単な詰将棋でも余詰との戦いは避けられない。
初形に戻して配置を変更しよう。
^←または【|◁】で初形に戻す。
さらに^Eで編集画面に移ろうとすると、次のアラートが出る。
余詰の図面でも途中経過を残しておくのはなんかの役立つこともあるので保存しておこう。
そして41飛の余詰を消して次の図にした。
32歩を32金に替えた。
初手41飛には31金と移動合して、32への逃走路を作る予定だ。
さてこれでもう一度解かせてみる。
^Wをすると
今度はちゃんと作意手順を答えてくれた。
しかし安心してはいけない。
長手数の余詰があるかもしれないからだ。
余詰のチェックには【対局】→【余詰を調べる】
すると余詰検査の設定窓が開く。
【OK】をチェックすると余詰の検査をしてくれる。
時間設定を100秒にしているのは普段から書籍の編集をしているため長めの設定にしているからだ。(あまり短いと長い余詰を見落とす)
詳しい設定方法は柿木将棋9を使いこなす(via.my cube)を参考にすると良いだろう。
実行してみると、暫くして…
良かった。これでとりあえず保存しよう。
保存は^Sまたは
さてこれで終わりではあまりにも芸がないのでもうちょっとこの詰将棋を推敲してみよう。
よくある考え方は狙いの11飛を隠蔽するために、そこに邪魔駒をおくというアイデア。
図は11銀をおいてみた。
この11銀を4手かけて消去し、あわせて7手詰にしようという訳だ。
例えば持駒に角を追加して変化が詰むようにしたのが次図。
柿木将棋に解かせてみると、
12角、11玉、21角成、同玉、11飛、同玉、12金までの作意を答えてくれた。
しかし、余詰チェックをしてみると…。
余詰があるようだ。そう簡単に上手くはいかなかったか。
3手目より21飛、同飛、同角成、同玉となると次の図になる。
これはもとの作意と同じ形だから、この余詰を消すのは元の図から変えていく必要がある。これは大変そうだ。
締切の関係もあり、別方向で考えよう。
(注意深い方はこの原稿がいつ書かれているのか、すでにお気づきのことだろう……)
邪魔駒を4手で消すのが困難ならば、2手で自分で消えることを考えよう。
そのためには11銀では捨てる場所がないので、平行移動して上に(下に)もっていく。
そうして完成したのが次図だ。
23角成、同歩、14飛、同玉、15銀まで5手詰。
持駒を「飛金」から「飛銀」にしたのは14角を捨てるのに支え駒として34銀を置いたので、詰上り図に34銀の存在を必要とさせるため。
しかし、この図ではまったく変化がないことが気になる。
詰将棋には作意・変化・紛れが揃っている必要がある。
紛れがないのは仕方がないが、23角成には同歩の一手、14飛にも同玉の一手ではあまりにも味わいがない。
そこで邪魔駒を銀に戻して変化を作り、初手に少しでもすっぽ抜けるのではないかという不安感を演出したのが次の図だ。
詰上りに34銀が遊ぶのは辛いが初手23金の紛れを持たせるために、持駒も「飛金」に戻した。(持駒「飛銀」ならば45銀は歩ですむので、あとで気が変わるかもしれないが)今回はこれで完成図としよう。
保存した後に、もう一つやることがある。
スマホ詰パラのエモンさんが提供してくれている同一作チェックだ。この頁をブックマークしておこう。
そして柿木将棋の【コピー】をクリックし、
同一検索ページで^Vまたは【貼り付け】する。
【検索】をクリックして
この画面が出たら、とりあえずは安心だ。
Tweet
「柿木将棋の使い方」毎回楽しみに拝読させていただいています。順を追った説明が丁寧で、分かりやすく、初心者の私でもよく理解できます。今は詰将棋創作法の解説ですが、今後の希望です。「ツール」から「詰将棋データベース」を開いた後、その活用の仕方がよく分かりません。詰将棋データベースの作り方や活用方法についても解説いただけると嬉しいです。
「詰将棋で遊びましょう」1年間楽しませていただきました。ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。ootanowatasi66
コメントありがとうございます。
まったく反応がないと、「もしかして世界中の誰も必要としないテキストをオイラは時間をかけて書いているのかもしれない」とネガティブになります。
反応があると、うれしくてやる気が出ます。
TSUME-Baseの使い方、オイラもそんなに活用していないのですが、そのうち書きます。お待ちください。