三代伊藤宗看『将棋無双』第76番 1734.8
本局は31手とボリュームはあるが、小駒の捨駒が主役の、謂わば手筋物。
まずは素直に攻める。
18玉を許さないためには初手はこれしかない。
38金、同と、39桂、同と、
これで28飛を見せ手に攻めることができる。
(28飛と打ってしまってはこの飛車が活躍しそうにない)
16角、
退路に捨駒という手筋の攻め。
同となら28飛で詰ますぞという飛車を活用する技だ。
同玉、15成香、
続いてまたも捨駒。
同玉、13飛、24玉、14飛成、35玉、
【失敗図】
好調な攻めだが、ここで頓挫する。
53角成としても44桂ぐらいで詰まない。
27桂も同とで効果はなし。
持駒が桂馬だけではどうしようもない。
だが、ここで47銀が居なければ47桂までで詰むことに気がつけただろうか。
この局面では47銀は邪魔駒だったのだ。
この銀を消すには4手目の局面まで遡る必要がある。
【再掲図】
好手16角の前に妙手があったのだ。
38銀、
その直前に38金を支え、存在意義を確認したばかりの銀を、まるで広い方にわざわざ逃がしてしまうかのように捌き捨てる。
同玉は、28飛、47玉、59桂、
【変化図】
しかし、一見広そうに見える下辺だが、69香の存在が効果的で28飛に49玉は58角、59玉、86角まで。
57玉でも、59桂と打てばどう逃げても角打ち~角成で詰んでしまうのだ。
同と、
これで桂1枚の消費で47銀が原形のまま煙のように消去できた。
39桂、同と、16角、同玉、15成香、同玉、
13飛、24玉、14飛成、33玉、
そこで14飛成には35玉では47桂で一発なので、33玉と逃げることになる。
ここから第2ラウンドだ。
42角成、
第1ラウンドの主駒だった角をいきなり切るのが宗看流の豪腕だ。
同金では35香で多数決で勝つ。
同玉、
ここからは細かい変化はあるが手は見える。
53香成、
34桂では33玉で手が続かないので、54桂と打つために53香成だ。
69香・71銀の配置からもやってみたい手だろう。
同金、54桂、同金、
同玉でも作意に合流するが、余詰もある。
作意は龍が綺麗に消えるので、これで良いだろう。
43香、53玉、62銀不成、43玉、34龍、42玉、
31龍、同玉、32金まで31手詰
53香成では52香成以下の余詰がある。
松井雪山氏の補正案は下図。
【修正案】