江口飛角図式の特徴は実戦的な鋭い妙手だ。
論より証拠。
次の作品はわずか9手の掌篇だが、考えてみていただきたい。
小山角太郎『飛角図式』第13番 詰パラ2009.4
一度解けてしまえば、なんということもない詰手順だが、盲点に入って苦しんだ方もいらっしゃるのではなかろうか。(筆者ももちろん苦しんだクチ)
江口伸治の作品は巧妙に解者の盲点を突く作品が多い。
短編と軽く見ると大変な思いをすることがある。
そして江口飛角図式の本領は中編にある。
飛角図式は1000局以上作られているが、そのほとんどは短編か超短編だ。
21手以上の飛角図式は150局もない。
そのうち江口作品は52局。
中編飛角図式の\(\frac13\)は江口伸治が創ったのである。
小山角太郎『飛角図式』第13番 詰パラ2009.4
飛角図式といういわば形式的に整った詰将棋というと、鑑賞向きと理解されるかもしれない。
それこそ実戦には現れない詰将棋ではないか、と。
しかし江口飛角図式に関してはそれは大きな誤解だと断言しよう。
先入観に騙されず、ひたすら読みの力を鍛えるのに最適の作品集だ。
しかし単に難しいだけの作品ではない。
苦しんだ後にパぁっと光がさすような好手が跳び出してくる。
この独特なコクのある解後感。きっと貴方も江口作品の魅力が癖になるはずだ。
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「小山角太郎」という名前は何でしょうか……。
初出時の名義、ということ? ちょっと気になったのでした。
おっしゃるとおりで詰パラ掲載時の名義です。
わからないものもあるのですが、わかる範囲で初出時の名前で表示するようにしています。